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焦点:企業決算への反応鈍い日本株、本業懸念やトランプリスクが重荷 

2017年2月8日

[東京 8日 ロイター] - 日本の企業業績は着実に拡大基調にあるとはいえ、市場の高い期待には届かず、日本株の反応は鈍い。個別企業の決算を注意深くみると、「稼ぎ頭」の電子部品や自動車メーカーには本業の懸念が浮上したところもある。

 「トランプリスク」に日本企業が直面する中、為替がさらに円高方向に振れるリスクもあり、来期の業績に対する市場の楽観的な見方が修正されつつつある。

<本業失速に人手不足の圧力>

電子部品大手、村田製作所<6981.T>が1月31日に発表した2016年10─12月期の売上高は、前年同期比10.5%減、営業利益は同32.7%減。円高だけでなく、成長の源泉だった「通信モジュール」が、思わぬ打撃を受けたことも響いた。

複数の部品をパッケージ化し、顧客に供給する通信モジュールの10─12月期の売上高は26.7%減。決算発表翌日の村田株は4%安。米アップル<AAPL.O>関連株が軒並み高となる中、逆行安となった。

モジュールの失速の主因は、アップルが昨年発売した「iPhone(アイフォーン)7」に搭載される同モジュールのシェア低下とみられている。

アナリストらによると、村田はアイフォーン7に対応するエンジニアを十分に確保できず、開発の立ち上がりに遅れが発生。自社が不得手な部品をモジュールに組み込もうとした結果、コストパフォーマンスが悪化し、シェアを他社に奪われたようだ。

村田の幹部は決算会見で、来期の売上高が前年比で10%程度増加する見通しを示した。実現には今年中の発売が有力なアップル製スマートフォンの新モデル向けの受注が大きく左右する。

しかし、人手不足の問題がすぐに解消できるかは不透明。サプライヤー間の競争も激しさを増している。「失策が今期だけにとどまるとも言い切れない」(岩井コスモ証券・投資調査部副部長の有沢正一氏)との指摘もある。

<のしかかるトランプ大統領の不透明感>

マツダ<7261.T>は2月2日、17年3月期の利益予想を下方修正した。日本・北米の販売台数予想を引き下げたことなどが主因。東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「技術力への自負から、値引きせずブランド価値を高めようとしてきたが、価格が高くなり、顧客がついてこられなくなった」と分析。米国での販売改革など「『治療中』の北米では台数の伸びは見込めない」とみる。

トヨタ自動車<7203.T>は6日に通期業績予想を上方修正したが、翌日のトヨタ株は2%を超す下落。修正後の営業利益予想は1兆8500億円(前年比35.2%減)。2兆円を上回る水準とみていた市場予想を下回り嫌気された。

同社は17年1月分から1ドル=110円と円安方向に想定レートを見直したが、市場の関心は金融事業にも向かった。

米国での中古車価格の動向を踏まえ、リース車両の残価コストの引当金を積み増し、中間期時点で200億円と見込んでいた金融事業関連の減益要因を1150億円に拡大した。「米国での販売環境に対するトヨタの警戒感が現れている」(中堅証券)との声もある。

みずほ証券リサーチ&コンサルティングの集計によると、17年3月期の国内企業の純利益増減率は、2月3日現在で前年比プラス2.2%。12月末時点の事前予想マイナス2.9%から改善した。(東証1部・金融除く、時価総額ベースで発表率60%)。

これは米大統領選後の急速なドル高/円安の進行で、輸出企業を中心に業績予想の上方修正が相次いだことが背景にある。

一方、日経平均<.N225>は、安川電機<6506.T>が先陣を切って第3・四半期決算を発表した1月23日以降、ほぼ横ばい。個別物色の域を脱しきれず、全体相場の押し上げにはつながっていない。

<乏しい割安感>

トランプ米大統領が、日本を名指しして通貨安政策をとってきたと批判し、ドル/円<JPY=EBS>の一段上昇への期待感は後退している。米国内のインフラ投資拡大が日本企業の業績に好影響をもたらすかも未知数だ。

三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの市川雅浩氏は「あれだけ強く米国第一主義の姿勢が打ち出されれば、企業も構えてしまう。来年度の企業側の業績見通しは、より慎重な数字が出る可能性がある」と述べる。

日経平均の予想1株利益は、2月7日時点で1213円。年初水準に比べ2.8%上昇した。予想株価収益率は16倍台後半から15倍台半ばまで低下したが、概ね14─16倍台で推移してきたアベノミクス相場のレンジの中では、割安感は乏しい。

足元の水準はすでに天井なのか、それとも一段上のバリュエーションを許容しじり高基調を続けるのか──。優良企業の本業における「不調」をにらみ、疑心暗鬼が市場に渦巻いている。

(長田善行 編集:田巻一彦)

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