2月7日、アップルの共同創業者で2011年に死去したジョブズ氏の「最後の作品」と言えるのが、現在カリフォルニア州クパチーノで建設している新たな本社だ。1月撮影(2017年 ロイター/Noah Berger)

[サンフランシスコ 7日 ロイター] - スティーブ・ジョブズ氏は、初代マッキントッシュ・コンピューターの内側にチーム全員のサインを刻んだというが、このことは、米アップル製品の隠れた細部にも同氏の深いこだわりが詰まっていたことを物語っている。

 アップルの共同創業者で2011年に死去したジョブズ氏の「最後の作品」と言えるのが、現在カリフォルニア州クパチーノで建設している新たな本社だ。「宇宙船」と称されるその建物はまさにジョブズ氏へのトリビュートと呼ぶにふさわしいものだ。

 斬新な新社屋には、細部への驚くべきこだわりが見て取れる。配線から配管の隠し方まで、約26万平方メートルの同社屋は見どころにあふれている。

 しかし、携帯端末と同じくらい完璧に建物を建築することは至難の業だということが、新社屋の建設に関わった約20人へのインタビューから明らかになった。彼らの大半は、アップルと守秘義務契約を結んでいるため、身元を明かすことはできない。

 アップルが2011年に建設計画を発表してから、新社屋への引っ越し日は徐々に延期されていった。ジョブズ氏の当初の計画では2015年だったが、関係筋によれば、今では今年の春ごろとみられているという。クパチーノ市との承認手続きに時間がかかっていることも延期の一因だ。

 アップルは建築費用の総額を明らかにしていないが、元プロジェクトマネジャーらは、推定約50億ドル(約5600億円)としている。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、2015年に行われたテレビインタビューのなかで、この数字に反論しなかった。元建設管理者によると、主要建物の内装だけでも10億ドル以上が計上されている。

 このプロジェクトに投じられた時間とカネにもかかわらず、建築業界からは、アップルが最終的に正しい方向に向かっているのか、疑問の声も上がっている。