経営×経理

 実際の導入費用を見てみましょう。行政書士法人GOALでは、バックオフィス業務として「MFクラウド会計」や「MFクラウド請求書」、社内コミュニケーションツールとして「チャットワーク」を利用しています。全従業員20名分のパッケージを導入した場合の費用は約46万円でしたが、もし、本補助金を利用していれば実質負担は約15万円になり、30万円ほど安く導入することができました。

 さらに、同じサービスを50名規模の事業者が導入すれば、約90万円かかる導入費用が実質約30万円になりますので60万円ほど「得」します。導入しようとするサービスの価格にもよりますが、最大100万円の補助なので、150万円以上の導入費用になる事業規模であれば、100万円ほど安く導入できるわけです。

「補助金」と「助成金」の違い

 さて、詳しく補助金の申請要件を見ていく前に、そもそも「補助金」とは何なのかということをお伝えしておきます。

 補助金と混同されやすいものとして、「助成金」があります。「返済が不要」という点は共通していますが、助成金は厚生労働省が管轄し、人材の採用や育成など「人」に関するものであるのに対し、補助金は広く厚生労働省以外の省庁やその関連機関、民間企業などが出しているもので、「事業」についてかかる経費の一部又は全部が補助されるものが補助金です。

 それぞれの補助金には、目的や趣旨があります。「お金をもらうこと」が目的なのではなく、自分たちがやりたい事業にマッチする補助金があった場合に申請し、審査に合格した場合に初めて補助金を受け取ることができるのです。

 ですから、原則として補助金は後払い(精算払い)です。事業を実施し、報告書等の必要書類を提出して検査を受けた後に、はじめて受け取ることができる仕組みです。

補助金や助成金は年間でおよそ3000種類も出ていると言われ、今年新たに作られたものや、去年はあったのに今年はなくなるものもあります。政府の政策等の変化に応じて、補助金や助成金の内容も変わっていきます。

 補助金・助成金というと、実際に利用したことのある中小企業のほうが少なく、その中には自分たちには関係ないと考えられている人も多いように感じますが、今回の「IT導入補助金」のように多くの中小企業が申請できるものもたくさんあるのです。

Special Columns

石下貴大[行政書士]

いしげ・たかひろ

行政書士法人GOAL代表、株式会社ボランチ代表取締役、一般社団法人行政書士の学校代表理事。

 

1978年栃木県生まれ。立教大学法学部卒。2008年行政書士石下貴大事務所を開業し、2014年行政書士法人GOALに組織変更。

 

行政書士の実務を学ぶ場として「行政書士の学校」を主宰し、これまでにのべ5000名以上の行政書士に実務セミナーを開催。各行政書士会、大学等での講演活動のほか、6冊の書籍を出版、日本経済新聞や各メディアに専門家として情報発信を続ける。これまで500社以上の株式会社、一般社団法人、NPO法人などの起業や資金調達に携わる中で、多くの企業が補助金や助成金を活用できていないことを知り、もっとわかりやすく使いやすい情報発信が必要という思いから「みんなの助成金」を開発、運用する。 


「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?

2012年頃に登場し、わずか5年で100万社以上の企業が導入している「クラウド会計」。GmailやDropboxがあたりまえのようにビジネスの現場に普及しているように、今後、会計・請求・給与・経費精算などのバックオフィス系だけでなく、 顧客管理や在庫管理などあらゆる経営リソースがクラウド化していくことは間違いないと見られている。本連載では、クラウド会計をどう活用するか、企業の事例を中心に『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』(ダイヤモンド社)の著者の3人の税理士がインタビュアーとなって紹介する。

「「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?」

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