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やり抜く力
【第10回】 2017年2月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
アンジェラ・ダックワース,神崎朗子

グリット(やり抜く力)はこのトレーニングで伸ばせる
スポーツジャーナリスト中西哲生、特別インタビュー【後編】

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IQや才能など生まれつき備わっている能力よりも、「やり抜く力」こそがあらゆる成功のカギだという研究成果をまとめ、世界的な話題となっている『GRIT やり抜く力』(ダイヤモンド社)。本書の愛読者であるスポーツジャーナリストの中西哲生さんは、ジャーナリストの仕事と平行して、長友佑都選手や永里優季選手、久保建英選手のパーソナルコーチも務めている。前編では、自身が「やり抜く力」を身につけた経験を語ってもらったが、後編はコーチの視点から「やり抜く力」の高め方について語ってもらった。(構成:山本奈緒子、写真:柳原美咲)

「やり抜く力」が弱い人の特徴

―――長友選手や永里選手、久保選手は非常にグリット(やり抜く力)が強いとのことでしたが、反対に「やり抜く力」が弱いと思われる人にはどんな特徴がありますか?

中西 やっぱり、近道を探す人でしょうか。何かをやり続けたことによって、あるとき突然実現できることはあると思います。でも、簡単に上手くなる方法はない。

『GRIT やり抜く力』の中に「才能×努力=スキル」→「スキル×努力=達成」という方程式が説かれていました。才能があるだけではダメで、努力することで初めてスキルが身について、スキルを身につけたうえでさらに努力することでやっと大きな結果を出せるということ。これは皆に知ってほしいと思いましたね。

 僕の知り合いに、藤田寛之という、僕と同い年のプロゴルファーがいるんですけど、彼は40代になってから賞金王に輝いているんです。その彼が、「この先、どうなりたいですか?」と聞かれたときに、「職人になりたい」と答えていました。さらに、「職人の技術っていうのは毎日磨いていないと曇る」とも言っていて。

 一流と言われる人たちは皆、最初から上手くできるわけじゃなくて、毎日地道に玉を磨き続けるようなトレーニングをしているんですよね。

「できそうでできないこと」で「やり抜く力」を伸ばす

―――コーチをされていて、相手の「やり抜く力」が低い場合、それを引き上げるアプローチをされることはありますか?

中西 もちろん。そんなときは、「できそうでできないこと」を練習させるといいんです。そうすると皆、一生懸命やりますよ。たとえば右足ではできるけど左足ではできないこととか。

 そこにちょっとコツを伝えてあげると、「あ、できた!」と顔が変わる。そうやって何回かに1回できるようになると、とくに若い選手なんて、面白いから夢中で練習するようになります。

 僕の役割は、「できないこと」を提示してあげて、最初は10回に1回しかできなくても、最後には10回やって10回できるようにすることだと思っているんです。

―――そうしてできるようになると、また新たな「できそうでできないこと」を提示されるんですね。

中西 そうやってちょっとずつレベルを上げていくんです。でも「やり抜く力」のある人ほどすぐできるようになるので、こちらも次々と新しいことを考えなくちゃならない。長友選手は、「これやってみて」と昨日できなかったことをやってもらったら、今日はもうできるようになってるんですよ。

 僕が「あれっ!?」と驚いたら、「コソ練しました」と言うんですけど、彼は本当によく練習します。やはり最初からエリートだっていう選手ではないので、自分で自分を磨くことを怠らないんです。まさに「やり抜く力」の典型的な例だと思います。

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    アンジェラ・ダックワース [Angela Duckworth, Ph.D.]

    ペンシルベニア大学心理学部教授。近年、アメリカの教育界で重要視されている「グリット」(やり抜く力)研究の第一人者。2013年、マッカーサー賞(別名「天才賞」)受賞。教育界、ビジネス界、スポーツ界のみならず、ホワイトハウス、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、米国陸軍士官学校など、幅広い分野のリーダーたちから「やり抜く力」を伸ばすためのアドバイスを求められ、助言や講演を行っている。
    ハーバード大学(神経生物学専攻)を優秀な成績で卒業後、マッキンゼーの経営コンサルタント職を経て、公立中学校の数学の教員となる。その後、心理科学の知見によって子どもたちのしなやかな成長を手助けすることを志し、オックスフォード大学で修士号(神経科学)、ペンシルベニア大学大学院で博士号(心理学)を取得し、心理学者となる。子どもの性格形成に関する科学と実践の発展を使命とするNPO「性格研究所」の創設者・科学部長でもある。
    ダックワース教授の研究は、多数の学術専門誌のほか、「ニューヨーク・タイムズ」「フォーブス」「タイム」をはじめ一般紙誌でも広く採り上げられている。長年の研究成果をまとめた本書は、2016年5月の刊行直後から「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラー上位にランクイン。たちまち異例のベストセラーとなり、「CBSニュース」をはじめテレビ等で大きく報じられた。TED トーク「成功のカギは、やり抜く力」の視聴回数は900万回を超える。夫とふたりの10代の娘とともにペンシルベニア州フィラデルフィア市に在住。

    神崎朗子 [かんざき・あきこ]

    翻訳家。上智大学文学部英文学科卒業。おもな訳書に『スタンフォードの自分を変える教室』『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』『フランス人は10着しか服を持たない』『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』(以上、大和書房)などがある。
     


    やり抜く力

    「人が人生で成功するのに最も重要なファクターは何か?」がついに解明された! ビジネスリーダー、エリート学者、 オリンピック選手……成功者の共通点は「才能」でも「IQ」でもなく、第3の能力「グリット(やり抜く力)」だった――。これまでの能力観・教育観を180度くつがえし、世界的ベストセラーとなっている『やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』から、その驚くべき内容を紹介する。

     

    「やり抜く力」

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