先日、ダイヤモンド・オンラインに「この国の復興に向けて、今、私たちが為すべきことは何か」という小論を載せていただいた。それを見た編集者より、震災復興に向けた連載ものの依頼を受けた。私は一介のベンチャー企業の経営者に過ぎず、大学で学んだのは憲法である。震災や原子力について格別の知見を持ち合わせているわけでもない。私のようなごく普通の市民の意見にどれほどの意味があるのだろうかと自問した。

 しかし、逆に言えば、このような未曽有の事態だからこそ、プロや専門家ではない普通の市民の素人感覚が必要とされているのではないかと思い直し、お引き受けすることにした。そのような次第であるから、読者諸兄におかれては、知見不足などについてはお許し願うとともに、誤解や事実認識の間違いなどについては忌憚なくご指摘いただきたい。

いま直面している問題を3つに分けて考える

 今回の大震災からの復興に向けて、最初に為すべきことは何か。それは、骨太の見取り図を描くことであると考える。あるいは、グランド・デザインを描くことと言い替えてもよいかも知れないが、ようは、例えば以下のように課題を大括りに整理することである。

 いまわが国が直面している問題は、次の3つである。

  1.  1.津波によって大きな被害を受けた東北地方・太平洋沿岸地域の復興支援
  2.  2.福島の原発事故への対応
  3.  3.首都圏の電力不足
  4.  

 これら3つの大きな問題は、東日本大地震という同じ原因によって引き起こされたものではあるが、その対応策については夫々の事情によってかなり大きな違いがあるように見受けられる。そうであれば、はじめからこれら3つの問題を峻別して対応策を考えるべきであろう。