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焦点:イタリアで高まる反ユーロ感情、各政党は支持獲得に躍起

2017年2月10日

[ローマ 8日 ロイター] - イタリア国民の間で欧州単一通貨ユーロに対する反感が広がってきた。同国では6月にも前倒し総選挙が実施される可能性があり、毛色の異なるさまざまな政党が反ユーロ感情に訴えかけて支持を獲得しようとしている。

イタリア中央銀行のサルバトーレ・ロッシ副総裁は先週、リスナーからの電話質問に答えるラジオ番組に出演した。多くの質問は、イタリアがなぜユーロを離脱して旧通貨リラに戻らないのか、というものだった。

離脱すれば「破滅と大惨事」を招くと副総裁は答えたが、数年前なら離脱シナリオが公に討論されること自体、なかっただろう。

ユーロが導入された1999年以来、イタリア経済は右肩下がりで、多くの国民はその原因がユーロにあると考えている。

 「ユーロ導入前の方がずっと暮らし向きが良かった」と嘆くのは、ローマで不動産鑑定士として働くルーカ・フィオラバンティさん(32)。「物価は上がったのに給料は横ばいだ。ユーロから抜けて主権通貨に戻る必要がある」と語る。

イタリア中銀は反ユーロ感情の高まりに気をもんでおり、中銀筋によると副総裁がラジオに出演したのは一般市民と対話するためだった。

イタリアは1957年の欧州連合(EU)の元となる創設国の1つであり、英国のようにEU自体からの離脱を望む国民はほとんどいない。EUのおかげで欧州は平和と安定を保てたとの見方が浸透している。

与党、民主党はユーロ支持の立場だが、ユーロを巡る財政規則は厳しすぎると不満を訴えてきた。

その他の主要3党は濃淡こそあれ、いずれも反ユーロで、イタリアが現在の形でユーロにとどまるべきではないと考えている。

次の総選挙は2018年初めの予定だが、前倒し実施の可能性もある。レンツィ前首相が昨年12月に国民投票で敗北し、辞任して以来、民主党が選挙で勝利する可能性は後退している。世論調査によると、現在の選挙制度では、どの政党も連立も過半数を獲得できそうにない。

イタリア国民は従来、加盟国の中で最も親ユーロの部類に属していたが、12月に欧州委員会が実施した調査によると、ユーロは「良いものだ」との回答は41%にとどまり、「悪いものだ」が47%を占めた。

EU統計局(ユーロスタット)のデータによると、イタリアはユーロ圏の中で唯一、ユーロ採用後に1人当たり国民総生産(GDP)が減少した国。経済規模は2008年の世界金融危機前に比べて7%縮小したままで、若年失業率は40%に達している。

<五つ星運動>

最もユーロに批判的な政党は、第3党で右派の北部同盟だ。同党は政権に就けばユーロから離脱すると約束しているが、支持率は13%程度と低い。

反既成政党の「五つ星運動」の方が大きな脅威になるかもしれない。世論調査の支持率は30%程度で民主党と肩を並べており、ユーロ残留か離脱かを問う国民投票の実施を唱えている。

ただ、イタリアの憲法は国際協定が司る問題についての国民投票を禁じている。このため五つ星運動は、拘束力のない投票で世論を諮る案を示している。

同党の創始者ベッペ・グリッロ氏は先週ブログに「手遅れになる前にユーロの国民投票を」と題した記事を投稿した。

同党が首相に擁立すると見られているルイジ・ディ・マイオ氏はロイターに対し、「我が国は主権通貨に戻るべきだ。他国の合意が得られるなら、新たな規則に基づく新たな共通通貨を結成してもよい」と述べた。

シルビオ・ベルルスコーニ氏率いる中道右派政党「フォルツァ・イタリア」は直接的なユーロ離脱を訴えてはいないが、ドイツがユーロを離脱するか、イタリアがユーロとリラを同時に使えるようにすべきだとしてきた。

イタリア中銀は、ユーロを離脱すれば国民の貯蓄が急激に目減りすると警鐘を鳴らす。しかし中銀は度重なる銀行危機を防げなかった上、長年にわたり楽観的すぎる経済成長見通しを示してきたため、かつてのように国民から尊敬されてはいない。

(Gavin Jones記者)

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