マネジメント力の強化や活性化の必要性といった「ミドルマネジャー問題」は、ひところに比べれば話題にのぼる頻度も減り、今やグローバル問題の陰に隠れ、そのなりを潜めているようだ。

 だからといって、解決したという話はついぞ聞かない。データ(図1)は、我々が実施した調査の結果の一部である。2007年、2009年と二度の調査でも、ミドルマネジャーのマネジメント力の強化は人事課題の上位に位置しており、この数年で状況が改善したとは考えがたい。ミドルマネジャーの問題が盛んに議論されていた当時、実際の人事部での議論の大半はミドル自身の能力を問題視するものであった。

 しかし、それだけが本質的な解決を促す策だとは到底思えない。ミドルマネジャーの問題は、組織の問題に起因している。それゆえミドルマネジャーに限らず階層を越えて、長期にわたり組織を蝕んでいくリスクをはらんでいる。

「ミドルマネジャー問題」は、<br />本当にミドルマネジャーの問題なのか<br />組織が採るべき2つの処方箋

いったいミドルマネジャーの
何が問題だったのか

 ミドルマネジャー問題とされている現象は、次のような表現で語られる。

・プレイヤーの業務に忙殺され、マネジメントができていない。

・問題解決能力が欠如している。