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焦点:日銀の中期国債買入に減額観測、現物枯渇で浮上 注目のオペ対応

2017年2月13日

[東京 13日 ロイター] - 日本国債市場では、中期ゾーンを対象にした日銀の国債買い入れオペが減額されるのではないかとの警戒感が広がってきた。5年国債の日銀保有比率が6割を超え、需給がタイトになっていることが背景。ただ、減額すればテーパリング(量的金融緩和の縮小)観測が再燃し、長期・超長期金利が上がり出しかねない。

日銀と市場との「対話」がスムーズに進むのか、日銀オペに対する注目度が急速に高まっている。

<5年現物債、国債補完供給で手当て>

足元で日銀の国債補完供給(国債売現先)応札額が、急激に膨らんでいる。通常は数百億円規模にとどまっているが、9日のオファーは2369億円、10日は3413億円、13日は5357億円と跳ね上がり、売却銘柄のほとんどがカレント物の5年130回債<JP5YTN=JBTC>。総計で1兆0660億円と9割超を占めた。

この珍現象は、実は今年1月にもあった。1月18日オファーの応札額は5614億円、19日が5469億円で、このうち5年130回債の比率は96%に達した。

急激な応札額の増加は、5年利付国債入札に関連した動きとの見方が市場にある。5年債入札は1月が19日に実施され、2月は14日の予定。入札近辺に国債補完供給の応札額が膨らむ傾向が、はっきりと見て取れる。

基本的に金融機関が入札で落札すると、いったんロング・ポジションが膨らむため、事前にショート・ポジションで入札に臨むことが通例。

だが、フェイル(証券決済未了)などに備えるため「日々の業務で入札に向けて構築したショート・ポジションを一時的にカバーする必要性が出てくる場合がある。マーケットでポジションを埋め合わせる現物債が見つからなければ、大量に現物債を保有する日銀の補完供給オペで手当てするしかなく、それが5年130回債の応札額を極端に膨らませた背景にある」(国内金融機関)と分析する。

このような見方は、5年130回債の需給が極端に逼迫(ひっぱく)していることを示しているとも言える。日銀が2日発表した「日銀が保有する国債の銘柄別残高」によると、1月末の段階で5年130回債の保有残高は2兆9297億円と、発行総額4兆8000億円に占める割合は6割超。市場の流動性が枯渇しつつあることが需給の逼迫に強く影響しているとみられている。

<1月の流れと酷似>

国内金融機関の債券ディーラーは「1月25日の悪夢がよぎる」と話す。

5年債入札を前にした流れは1月と酷似しているため、日銀が需給タイト化に変化なしと判断し、1月25日のように2月も「残存1年超5年以下」を対象にした国債買い入れオペをスキップするのではないかという思惑がささやかれている。

1月は月次で通常6回だった中期ゾーンのオペが5回に減らされ、相場が急落した。その後は日銀オペへの信頼が揺らぎ、超長期・長期ゾーンの金利急上昇に波及することで、日銀は3日に「指し値オペ」を打たざるを得ない状況に追い込まれる。

中曽宏日銀副総裁は9日の会見で、国債買い入れオペについて「金額・タイミング・回数は、需給環境や市場動向を踏まえて実務的に決定している」と述べている。「需給環境からみると、現状の中期ゾーンはオペ減額の方向になってもおかしくはない。月次回数が6回に復元されても、1回あたりのオファー減額となる可能性は否定できない」(国内証券)とみている。

2017年度の国債発行計画では、5年債は月次で16年度から2000億円減額される。市場では「供給が減ることでさらに需給の逼迫が確実視される。このため来年度を見据えて、今年度中にマーケットにオペ減額を着実に浸透させる意味でも、日銀が機動的に動いてくることを念頭に置いておく必要性がありそうだ」(同)との見方もある。

JPモルガン証券・チーフ債券ストラテジストの山脇貴史氏は「あすの5年債入札は、ショートカバーなどで無難に通過するだろう」とみている。

ただ、マーケットでは5年債利回りの低下余地は限られるとの見通しが多数派。「需給タイト化のため、本来なら金利の大幅な上昇はないだろうが、仮に日銀オペの減額にスポットライトがあたり、将来的なテーパリング(量的金融緩和の縮小)への思惑が浮上すると、金利が急上昇して波乱となった3日のような相場展開が、再び起きることも考えられる」(外資系証券)と警戒感する声が出ている。

(伊藤武文 編集:田巻一彦)

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