だが、よくよく考えてみると、銀行預金であれ、郵便貯金であれ、預貯金をした人は結果的に、間接的に国債を買っている、ということになるのではないか。実際、国債の四割強は銀行などの金融機関が買っているのだ。つまり、国の借金を最終的に背負っているのは、なんのことはない、銀行や郵便局の預貯金者なのである。

 預金をした人は、国の借金に荷担するなんて、そんなことを許した覚えはない、と言うかもしれないが、知らず知らずのうちに、自分の大事なお金がせっせと国の借金に使われている、という現実があるのだ。

 日本には、地方を合わせれば900兆円もの借金がある。政権交代で無駄を削ろうという努力が続けられているが、それでも借金をして予算が組まれることに変わりはない。それが可能になるのは、借金に回すお金があるからである。では、そのお金とは何か。国債を郵便貯金や金融機関が購入する、という形で、思ってもみなかった人たちの預貯金が使われているのだ。

預けたお金は誰が使っている?
国や銀行員に、お金の使い道を委ねている現実

 国の無駄遣いについては、これまでもたびたび問題視されてきた。だが、その使い道がいかに巧妙にごまかされているか、それはなかなか半端なものではないようである。民主党政権に代わって「事業仕分け」が話題になったが、実際にはあれほど短時間でわかることには限りがあるようだ。