[新潟市 14日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は14日、新潟市内で講演し、世界的に貿易取引の伸びが鈍化している中で、「世界の工場」というアジア地域の経済成長モデルは転換点を迎えているとの認識を示した。今後の成長にはサービス業の生産性を高めてけん引役としていくことが重要とし、自由貿易体制が維持されることも不可欠と語った。

総裁は、「世界の工場」として世界経済をリードしてきたアジア地域は、金融危機以降の世界経済の成長率の鈍化に加え、国際分業ネットワークであるグローバル・バリュー・チェーン(GVC)構築の一服、中国の内製化の進展、保護主義的な動きの強まりという構造要因によって、「経済成長モデルが転換点を迎えている可能性がある」との見方を示した。

アジア地域の所得水準が上昇する中で、今後の成長モデルとしてサービス業が「ひとつの鍵を握る」と指摘。サービスの貿易には「まだまだ拡大余地」があるなどとし、「サービス業の生産性を高め、次の成長のけん引役としていくことが重要」と語った。

そのうえで、アジアの成長を可能としたGVCは「引き続き重要なエンジン」とし、「GVCの再編に向けた動きを梃子(テコ)にして、投資の拡大や生産効率の改善を進め、自らの新しい比較優位を創出していく努力が重要」と指摘。「そうした努力の大前提となるのが、これまで世界経済の成長を支えてきた自由貿易体制の維持だ」と強調した。

その後の質疑で総裁は日本の課題について問われ、日本経済を2%の成長経路に乗せることや、外国人を含めた労働力の確保などを指摘した。

*内容を追加しました。

(伊藤純夫)