夏の停電回避は、「節電(へらす)」ではなく
「一斉に止電(とめる)」

 今夏以降も収まらないであろう大幅な電力不足という現実に直面し、冷房をはじめ電力需要が跳ね上がる真夏を前に不安を抱く人も多いだろう。

 しかし見方を変えれば、夏場の計画停電は冬よりも対策が立てやすいとも言える。

 前述したように、計画停電回避のポイントは「一番使う時間帯をどう節電して乗り切るか」ということに尽きる。

 その点、夏場は電力需要のピークの時間帯を「9~18時」と絞り込みやすい。

 電力需要の大きい時間帯が押しなべて分散されている冬に比べて、シンプルでわかりやすく、ピンポイントに効果の出る、節電対策を立てることができるとも考えられる。 ただし電力需要の規模の大きさを考慮すれば、節電対策も大規模に、徹底的に、しかも 効率的に行う必要があるのは言うまでもない。

 対策そのものは立てやすい面もあるが、やはり実際に回避するのは冬場よりも夏のほうが難しいのは紛れもない事実なのだ。

 そのためには国がリーダーシップを取って立法化なり制度化なりすることで、夏を乗り 切る節電対策をシステムにすることが求められる。「今夏、計画停電を行なわせてはいけない」「計画停電を【減らす】のではなく【なくす】」という前提ですべての対策をスタ ートすることが大切だ。

 企業や個人レベルではなく、政府が本腰を入れて、「いっせいのせ!」で、みんなで足並みを揃えて夏に臨むことが必要なのである。