がんが消える、再発しない
という食べ物はない

がん治療後の「食事」で<br />気をつけることは?内野三菜子(うちの みなこ)
東京都出身。国立国際医療研究センター国府台病院 放射線治療室長。聖マリアンナ医科大学放射線科、埼玉医科大学国際医療センター放射線腫瘍科を経て、カナダ・トロントのプリンセスマーガレット病院放射線腫瘍科にて、日本人初のクリニカルフェローとなる。並行してトロント大学オンタリオ教育研究所(大学院)医学教育学にて修士号取得。帰国後、国立国際医療研究センター病院を経て、現職。日本医学放射線学会専門医(放射線治療)、がん治療認定医

 抗がん剤や放射線の治療の副作用で、口内炎や食道炎が治らないというときに、味付けの濃いもの、酸味の強いもの、熱いもの、固いもの、極端に冷たすぎるものを食べると、口のなかが刺激されて痛みが増すことがあります。こうした時は、だしを利かせた薄味のもの、さっぱりした口当たりのものがおすすめです。

 食欲が落ちて、1回にきちんとした量を食べられないときは、10時や3時のおやつも取り入れながら、栄養を十分に摂れるように工夫してみてください。

 また、食事は体を作る上でとても大切な要素ですが、「これを食べれば、がんが再発しない」「がんが消える」という食べ物はありません。

 本人が食べたくなくても、周りにいる人が「栄養をつけなくては」と、食べることに対して「強迫観念」のような気持ちで対応して、患者さん本人が、プレッシャーを感じて余計に食欲も落ちてしまう場合もしばしば見かけます。

 毎日の食事は、治療を進めるのに必要な体力を養うためのものであり、かつ、できる限り楽しむ時間でもあってもらいたいと思います。体調と相談しながら、その時々の体調に合わせて、栄養価を考えながら摂るようにしてください。

 なんでも食べて大丈夫。退院直後などは、施術した箇所に合わせて消化のよい、食べやすいものを選ぶ。「食べる楽しみ」の感じられるものを。