景気の動向に「消費」の影響が大きくかかわる理由

坪井賢一(つぼい・けんいち)ダイヤモンド社取締役、論説委員。
1954年生まれ、早稲田大学政治経済学部卒業。78年にダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集部に配属後、初めて経済学の専門書を読み始める。編集長などを経て現職。桐蔭横浜大学非常勤講師、早稲田大学政治経済学部招聘講師。主な著書に『複雑系の選択』(共著、1997年)、『めちゃくちゃわかるよ!金融』(2009年)、『改訂4版めちゃくちゃわかるよ!経済学』(2012年)、『これならわかるよ!経済思想史』(2015年)、『シュンペーターは何度でもよみがえる』(電子書籍、2016年)(以上ダイヤモンド社刊)など。

 Y=C+I+G+(X-M)のそれぞれの項目はどれくらいの割合なのかというと、民間消費(C)が全体の60%、民間投資(I)は15%、政府支出(G)が24%(政府投資4%、政府消費20%)、純輸出(X-M)が1%くらいだ。もちろん期によって増減するので、あくまでもざっとした計数である。なお、純輸出とは輸出入の差額のこと。また、政府投資は公共投資と考えていい。

GDPの6割以上は民間消費、つまり私たちが消費している金額だ。消費が増えなければ景気がよくならないのはそのためである。輸出が増えたり、あるいは輸入が減って黒字が増加しても、GDP全体から見ればたいした影響はない。

 今回は、GDPの基本的な知識を紹介した。これらを知っているだけで、「消費が低迷している」「貿易収支が赤字だった」など、ニュースで取り上げられている話題が、なぜこれほどまでに騒がれているかがわかるようになるはずだ。経済ニュースを読むときは、必ずY=C+I+G+(X-M)を頭に置こう。