なぜ、トランプ大統領の登場が人々の予測をかき乱しているのか

 2016年のアメリカ大統領選でいうと、トランプ大統領は共和党なので(1)、クリントン候補は(2)だった。民主党でクリントンと争ったサンダース候補は(3)で、はっきり自分を社会民主主義者だと主張していた。

 トランプ大統領の登場が人々の予想をかき乱しているのは、共和党主流派からみて、右派より右へはみ出しているからだ。そのために予測がつかない。また、右派は自由貿易による市場拡大論を主張するが、トランプ大統領は自由貿易に否定的で、(2)(3)の保護貿易に寄っている。ますます予測がつきにくい。

 さらに、専門家である経済学者や民間エコノミストが、トランプ大統領の発言に対して失笑しているのは、彼の発言や認識が、経済学の常識を理解していないとわかるものだからだ。ただしトランプが、わざとわかっていないフリをしている可能性もある。

 このように国際政治を読み解くうえでも、「何かヘンだ」で終わるのではなく、明確な理由を知るには経済学の基礎知識が必要だ。拙著『会社に入る前に知っておきたい これだけ経済学』では、最小限知っておくべき30の経済学の常識をまとめた。新社会人や経済学を学んでこなかった社会人には、ぜひ参考にしてほしい。