大人のファンを獲得し、
記録を更新し続ける『ONE PIECE』

ついに累計2億2000万部を突破!<br />なぜ漫画『ONE PIECE』は大人を惹きつけるのか初版発行部数が日本新記録の380万部となった最新刊『ONE PIECE』 61巻 ©尾田栄一郎/集英社

「前人未到の累計2億2000万部突破!」
 「最新刊61巻が初版発行部数380万部で日本記録更新!」
 「映画初日興行収入5億5300万円。東映史上最高記録を樹立!」
 「泣ける漫画:男性部門1位、女性部門1位、総合1位」(ネットリサーチDIMSDRIVE)
 「今までで最も感動した漫画:男性部門1位、女性部門1位、総合1位」(オリコン)

 このような数々の記録・伝説を打ち立てている『ONE PIECE』は、数多くある人気漫画のなかでも断トツの人気と注目を集めており、今や日本を代表する漫画といっても過言ではありません。そして、子どもだけに留まらないばかりか、むしろ大人を中心とした幅広い世代からの絶大な支持を誇っています。なぜ『ONE PIECE』はこれほどまでに多くの大人を惹きつけているのでしょうか。今回は、『ONE PIECE』に秘められた人気の理由を解明していきます。

『ONE PIECE』登場の時代背景
かつての価値観が“失われた”時代

 『ONE PIECE』は、1997年に週刊少年ジャンプで連載が始まりました。

 当時の日本の状況を振り返ると、1995年に起こった阪神大震災からの復興のなかで生まれた需要が日本経済の底上げ(デフレ基調からの脱却)につながっていたところでした。

[世] 日本のGDPデフレーターの推移(1980~2010年)

 しかし、上記のグラフのように1997年4月には“消費税率の引き上げ”、その後、金融業界では山一證券の自主廃業や北海道拓殖銀行の経営破綻といった大型倒産が起きたことにより、日本経済はデフレ局面へと突入していきます。

(この当時の阪神大震災からの復興という流れを機に、デフレから脱却できる可能性があったことは重要な視点ですが、これについては次の機会に考察したいと思います)