[東京 16日 ロイター] - 元日銀審議委員の白井さゆり慶大教授・アジア開発銀行研究所客員研究員は16日、都内の外国特派員協会で講演し、日米の物価水準の違いなど経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)からみて、ドル/円は円高方向に進むの自然であるとの見方を示した。

ドル円のフェアバリューが100─110円と仮定すれば、現行の113円程度の水準は「ほぼレンジ内」だとして、過度の円安と批判される可能性は少ないとの見方を示した。

<米国はトランプ政権以前から政府・日銀緊急会合注視>

もっとも米国の財務省は「トランプ政権誕生以前から、円高が進むと日本の財務省・金融庁・日銀が緊急会合を開くことを注目していた」と指摘。「米為替報告書も日本が為替介入を行なっていないとしているが、政府の口先介入について触れている」と指摘した。

日銀が昨年9月に導入した「長短金利操作(YCC)」は、長期金利のゼロ%固定と国債の年率80兆円の買い入れのどちらが重要なのか不明確であり、債券市場に不確実性をもたらしていると指摘した。

日米欧の中央銀行による資産買い入れは「量・質ともに限界に達している」とし、日銀が「2%目標達成のため『何でもやる』と言っても信用されない」と指摘した。

日本の家計や企業は2%の物価目標が早期に実現することは望んでいないが、成長率引き上げのためにも一度掲げた物価目標を安易に引き下げるべきでなく、「当面1%の安定的達成を実現し、その後2%目標の是非を議論すればよい」とした。

講演は英語で行われた。

(竹本能文 編集:吉瀬邦彦)