経営×経理

経理部の業務範囲が広い会社ほど
決算が早い理由

河江健史(かわえ・けんじ)
1979年生まれ。早稲田大学商学部卒。公認会計士。河江健史会計事務所代表、FYI株式会社代表取締役。 監査法人、証券取引等監視委員会等での勤務を経て現職。「クラウド会計は人材不足に悩む中小企業の救世主」という思いのもと、クライアントへの導入を進める。 主な共著に『リスクマネジメントとしての内部通報制度:通報窓口担当者のための実務Q&A』(税務経理協会)、『国税庁「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組み」徹底対応 税務コンプライアンスの実務』(清文社)、『インドネシアのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版社)などがある。(写真/竹内洋平)

河江 中小企業では、記帳を終えたら決算申告は税理士任せという会社も多いですよね。そういう会社を「真の経理部」に変革するためには、どうされるのですか?

武田 経理の仕事をベルトコンベアに例えると、そういう会社は、経費が発生してから記帳するところまででベルトコンベアが終わっているわけです。その状態から、決算書の分析をして、将来の見通しを加えた情報を経営者まで届けるようにする。ベルトコンベアを伸ばすようにして、経理部と経営者を直結させるのです。

河江 そうなると、経理の仕事が増えることになりますよね。そこに対する反発はないのですか?

武田 不思議なことに、そういう仕組みを整えると、確かに経理の仕事量は増えるのですが、決算が間違いなく早くなります。決算が早い会社ほど長いベルトコンベアが引かれている。つまり経理部の業務範囲が広いのです。なぜ経理部の業務範囲が狭いほど決算が遅くて、広いほど早いのか。それは「視野」の問題です。真の経理部は、記帳などの単純作業は付加価値が低いとわかっていますから、いかに正しく早く済ませるかを考え、できる限り効率化させることで、結果として業務の生産性が上がるのです。

河江 そもそも、記帳には付加価値はないと。

武田 はい。記帳をやった結果として決算書ができるわけですが、これも集計しただけであれば付加価値はほとんどありません。それを分析して経営に役立つ情報を見つけることで、初めて付加価値が生まれるのです。

「決算業務」はクラウド会計に任せ、
空いた時間で数字の分析・経営へ提案を

河江 それでは、付加価値に集中するべく、第一段階の「倉庫業」では決算業務までをいかに効率化するか、第二段階の「製造業」で決算数字を誰が分析するのか、という2つの問題がありますよね。

武田 その通りです。第一段階の「倉庫業」で数字の効率化・自動化をするにはクラウド会計の活用が効果的です。私がクラウド会計を初めて見たとき、「これは革命が起きた」と思いました。初期は通帳を取り込んで仕訳をするツールに過ぎませんでしたが、どんどん進化して、今では完全に「経理代行」ができるレベルになっている。決算書もつくってくれるし、将来的にはおそらく自動で申告書まで作成できるようになるでしょう。そうなると、いわゆる「情報の倉庫業」としての経理部の仕事は完全になくなります

Special Columns

土井貴達 どい たかみち

1973年生まれ。関西大学商学部卒。公認会計士・税理士。 土井公認会計士・税理士事務所代表。2012年に大手監査法人金融部を退所し、独立。 監査法人勤務時代に実施していた取引先企業への貸付金、有価証券の査定業務に係る監査、 コンサルティング業務などを通じてあらゆる業種に精通。 独立後も、企業融資のサポートを得意としている。 独立直後からクラウド会計の導入を始め、クライアント企業への導入サポートは数十社に及ぶ。

米津良治 よねづ りょうじ

1983年生まれ。上智大学法学部卒。税理士。税理士法人ファーサイト・パートナー。上場企業にてIR職、経理職等を経て現職。企業勤務時代に社内横断の業務プロセス改善プロジェクトの中心メンバーとして活動したことをきっかけに、業務効率化にこだわりを持つ。早くからクラウド会計の優位性に着目し、研究を開始。わずか1年で30社以上のクライアントにクラウド会計を導入した実績を持つ。

河江健史 かわえ けんじ

1979年生まれ。早稲田大学商学部卒。公認会計士。河江健史会計事務所代表、FYI株式会社代表取締役。 監査法人、証券取引等監視委員会等での勤務を経て現職。 「クラウド会計は人材不足に悩む中小企業の救世主」という思いのもと、クライアントへの導入を進める。 主な共著に『リスクマネジメントとしての内部通報制度:通報窓口担当者のための実務Q&A』(税務経理協会)、 『国税庁「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組み」徹底対応 税務コンプライアンスの実務』(清文社)、 『インドネシアのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版社)などがある。


「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?

2012年頃に登場し、わずか5年で100万社以上の企業が導入している「クラウド会計」。GmailやDropboxがあたりまえのようにビジネスの現場に普及しているように、今後、会計・請求・給与・経費精算などのバックオフィス系だけでなく、 顧客管理や在庫管理などあらゆる経営リソースがクラウド化していくことは間違いないと見られている。本連載では、クラウド会計をどう活用するか、企業の事例を中心に『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』(ダイヤモンド社)の著者の3人の税理士がインタビュアーとなって紹介する。

「「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?」

⇒バックナンバー一覧