鈴木氏による750円のアクションカメラの分解レポートを見ると、

・ Motion JPEGの映像しか出力しない(ビデオカメラのほぼ標準になっているH.264ではない)
・ 外箱にはHDとあるが、実際は1024×736,30fpsの映像しか撮影できず、センサーはそもそもVGA(640×240)の映像しか出力しない。CPUにあたるメインのチップで引き延ばしてこの解像度にしている
・ 高精度な家電で使われる多層基板ではなく、2層基板である(そのぶん製造費が安い)

 のように、通常市場に出回っているGoProなどの画質を期待すると大ハズレと言ってよい、数年前のウェブカメラのようなものだ。

 それでも背面の液晶やスピーカーまで含めてカメラとして動作し、市場で750円で売られているのはビックリだ。このアクションカメラは、防水ハウジングや化粧箱、自転車や自動車に組み付けるテープ、三脚にマウントするツールなどがすべて含まれてこの値段なのだ。

 同じく鈴木氏による3000円のアクションカメラの分解レポートによると、こちらの製品は

・米国OmniVisionの製のセンサーが出力する2688×1520の映像を台湾iCatch Technologyの超解像機能を持つチップがアップコンバートすることにより4K映像を出力する
・無線LANに対応している
・さまざまな機能を実現し、大量のデータを扱うため部品点数が多い

 という違いがある。

 並べて撮影してみると、背面のLCD液晶に映る映像のクオリティがそもそも違う。

 鈴木氏も書いているが、750円と3000円それぞれのアクションカメラは、外見はそっくりでも性能も基板もまったく違うもので、同シリーズで機能や製造難易度の差で価格が違うというよりは「2種類の別の製品」とも言える。狙っている性能とコストを目指して工夫するという点では、パチモノとはいえ、マーケティング視点に立った製品開発が行われているのだ。

シンガポールの電気店で売られる深セン製のさまざまなアクションカメラ

 中国設計のチップばかりを使った750円のカメラも、米国や台湾設計のチップ使って高性能を安価に実現した3000円のカメラも、世界中の部品が集まる華強北の環境をうまく使って製品開発をしていると言える。外箱やケースなどの付属品を自社で作らずに市場で調達するのもフレキシブルな製造と設計コストの削減に役立っている。こうした山寨家電の登場でアクションカメラはたいへんなレッドオーシャン市場になっていて、世界のどこでもこうした深センのカメラが売られている。

 東南アジアの電気街に行くと、この手の山寨アクションカメラは、このカテゴリを作り出したGoProを上回る勢いで売られている。

 また、定期的に詳細な製品の分解レポートをしている清水洋治氏(テカナリエ)によるこの記事(まるで“空飛ぶプロセッサ”、進化する中国ドローン)からは、DJIのドローンにはさまざまな機能に特化したカスタムICが搭載されていることが窺える。低性能・低価格と、世界を代表するDJIのような両方の開発、そしてその間の無限のグラデーションを持った開発がこの深センで行われている。