危機下のリーダー・シャクルトンから
震災後の日本人は何を学び取れるか?

 前回は、リーダーシップのモデルケースとして欧米で著名な南極探検家・アーネスト・シャクルトンを例に挙げ、東日本大震災後の日本人に求められる「危機下のリーダーシップ」を考察し、5番目の要素までを確認した。

 シャクルトンとはどのような人物か、また5番目の要素までどのような議論をしたのかについては、前回のコラムを参考にして欲しい。

 さて、ここは読みやすさのために再掲するが、シャクルトンの研究書籍の1つである『史上最強のリーダー シャクルトン』(マーゴ・モレル、ステファニー・キャパレル著、PHP研究所)から、危機下のリーダーシップ行動として引用・紹介させていただいたのは、以下の15ポイントである。

 1.命令よりも大事なものがある。それは隊員の生活と命の尊重。この信念が見事なほど揺るがなかった。

 2.代理を務める者への信頼感を示した。自分がいないとき、代理の者が自分と同じ水準の力を維持してくれることが重要である。

 3.グループ、そして個人の労をねぎらい、十分な評価を伝えた。心のこもった握手で感謝と喜びを表現する方法は、決して時代遅れにならない。

 4.すべての仕事が終わるまで、責任者は先頭に立って最後まで一番働き続けた。

 5.絶えず現場に足を運び、自ら範を示し、隊員との結びつきを強め、どんなささいなことでも手を貸し、自らが手伝った。

 6.行動する前にじっくり観察し、改善のために変更をおそれなかった。そして、なぜ変更するのかを説明した。決して自分の株を上げるためだけに、手を加えていなかった。