身体と脳の休め方の共通点とは

久賀谷 そのとおりなんです。フィジカルトレーナーの方の話を聞いて、マインドフルネスというのは、一種のアクティブ・レスティングなのかもしれないと思いました。マインドフルネスを私は「脳の休息法」と言い換えているわけですが、「ぼーっとしている時間」を増やすだけでは脳は休まらないんですよね。何もしないでいるときにもDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)という脳回路が過剰な活動を示して、脳のエネルギーの60~80%くらいを無駄遣いしているケースがあるからです。

斉藤 老廃物が身体に溜まっている状態に近いわけですね。

「ただ休むだけ」だと、脳のパフォーマンスは高まらない

久賀谷 そうです。だからこそ、マインドフルネスはぼーっとするのではなく、自分の呼吸だとか身体の感覚だとかに徹底的に「注意」を向ける。「注意しない状態=ぼーっとした状態」ではなく、むしろ、普段なら気にしないようなところに、並大抵ではないくらいの注意を向けるトレーニングなんです。そのほうが結果的に、DMNの活動が鎮まり、脳エネルギーの浪費を減らせるというわけです。

斉藤 なるほど、たしかにアクティブ・レスティングに似ています。

久賀谷 改めて、脳も身体の一部なんですよね。身体の休め方はこれまで散々議論されてきましたが、脳の休め方についてはあまり省みられてこなかった。そこで、マインドフルネスが注目されたんですよね。

斉藤 久賀谷さんの『最高の休息法』は、まさにそのあたりの問題意識をもとに書いた一冊ですよね。

久賀谷 そうなんです。そして、アメリカではマインドフルネスの流行を通じてかなりそうした意識が高まってきましたが、過労死などが再び問題になっているいまの日本でも、欠かせないものになってくると感じています。もちろん、パフォーマンスを高めたり、保ったりすることは大切です。でも、継続的に結果を出したいのであれば、「休み方」にも真剣に向き合う必要がある。この当たり前のことに、日本のみなさんが気づいてくださるといいなと思っています。

「ただ休むだけ」だと、脳のパフォーマンスは高まらない

(次回に続く)

※後編「『25分単位』で考えると、子どもの集中力は持続する」は2月27日(月)に公開予定です。