2月16日、トランプ米大統領(右)が、パレスチナ国家を樹立してイスラエルとの共生を目指す「2国家共存」にこだわらない姿勢を表明したことは、歴代大統領や各国の指導者がだれも入ろうとしなかった領域に足を踏み入れたことを意味する。写真左はイスラエルのネタニヤフ首相。ワシントンで15日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン 16日 ロイター] - トランプ米大統領は15日、イスラエルのネタニヤフ首相との会談後、パレスチナ国家を樹立してイスラエルとの共生を目指す「2国家共存」論について「わたしは2つの国家と1つの国家(という考え)の双方に目を向けている。両当事者が望む方が好ましい」と発言した。

 2国家共存にこだわらない姿勢の表明は、20年にわたって世界の外交界の大原則に背を向け、歴代大統領や各国の指導者がだれも入ろうとしなかった領域に足を踏み入れたことを意味する。トランプ氏としては、停滞してきた中東和平にまったく新しい構想を採用しようとしたのだろうが、同時にこれまで存在しなかった複雑な要素やリスクも呼び込んでしまった。

 イスラエルとパレスチナ自治政府が存在する地域に単一国家、もしくは連邦国家を成立させるというのは、大半のイスラエル国民やパレスチナ住民にとって宗教や政治、人口構成などの面から現実的な選択肢とはみなされていない。

 1つの国家論は数年前のようなタブー(禁忌)ではなくなり、イスラエル大統領が提唱しているほか、多くの若いパレスチナ住民の間で議論の対象になっている。とはいえ、こうした国家のアイデンティティ、宗教、民主主義が確立され、争いの火種を生み出さずにいられるかどうかは疑問視されている。

 パレスチナ自治政府の首席交渉官、サイブ・エレカト氏は1つの国家について、結局はイスラエルが主導権を確保してかつての南アフリカのアパルトヘイトのようにパレスチナ住民が国家内で差別的待遇を受ける恐れがあるとの見方を示した。

難しい両立

 中東和平問題は関係者の多大な尽力にもかかわらず、過去20年間ほとんど成果がなかっただけに、政治指導者や外交官が2国家共存とは別の可能性を検討し始めること自体は当然だ。そうした観点では、1つの国家論はより単純明白で、素晴らしい解決策に見えなくはない。