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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

原発事業を展開する東芝を例に考える
大震災や原発事故に伴う経済的損失は試算できるのか

高田直芳 [公認会計士]
【第56回】 2011年4月15日
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 東日本大震災の直後、東京電力が「計画停電」を行なうということで、筆者もご多分に漏れず、懐中電灯を買いに行くことにした。その日はまだ春分前のことであり、日の入りが午後6時前だったので、停電になったのでは闇夜を過ごせない。

 市内のガソリンスタンドのほとんどが閉鎖されていたので、ガソリン節約のために自転車を利用する。自家用車にはガス欠の恐れがあって、給油したいところなのだが、ここは我慢のしどころ。運動不足のカラダに、自転車のペダルはかなり重かった。

 郵便局で大量の郵便物を発送した後、ホームセンターへ向かう。開店までまだ10分以上もあるというのに、入り口はすでに数十の人だかりができていた。これだけの人が集まっては、懐中電灯は買えないな、と諦めたものの、とりあえず茶封筒くらいは買って帰ろうと最後尾に並ぶ。

 開店と同時に、老若男女が店内に突入していった。筆者はハナから諦観気分でいたのだが、思いがけずあっさりと、懐中電灯と乾電池を確保することができた。というか、入り口をはいったところに、山ほど用意されていた。さすが商売だなぁ、と感心する。

 茶封筒とドッグフードなども買い求め、レジに向かう。その途中、ガスコンロとガスボンベの商品棚の前で、大勢の人が押しくらまんじゅうを繰り広げているのを見かけた。

 ああ、そうかと、このとき合点がいった。開店前に並んでいた人たちの多くは、「オール電化の家」なのだと。

オール電化とガスコンロから考える
集中投資と分散投資の是非

 現代ポートフォリオ理論に、「分散投資」という考えかたがある。これは「すべての卵を、1つのバスケットに入れてはいけない」とするものだ。複数のバスケットに卵を分けて入れることにより、全壊を防ぐのである。

 オール電化は、1つのバスケットに家庭内のエネルギー源のすべてを納めてしまうものなので、計画停電によってすべての卵が消失してしまったのだ。

 もちろん、「集中投資」を是とする考えかたもある。その代表は、アメリカの投資家ウォーレン・バフェットだろう。「1つのバスケットに、すべての卵を入れて常に観察する」という投資スタイルで企業を厳選し、巨万の富を築いたのは有名だ。

 分散投資と集中投資のどちらが優れているかは、各自の投資スタンスによるものであって、優劣は付けがたい。株式が大暴落しても、債券や不動産などへ「分散投資」していれば、被害の拡大を抑えることができるぞ、と主張するのは、実際に株式の大暴落が起きてからの後講釈だ。そうしたリスクがないのなら、集中投資のほうに、たなびいてしまうのが人情というものだ。

 いずれにしろ、日常の光熱費節約には大きな成果のあるオール電化だが、今回の大震災でバスケットの底が抜けてしまったために、ガスコンロを買う人々がホームセンターに駆けつけたようだ。

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高田直芳 [公認会計士]

1959年生まれ。栃木県在住。都市銀行勤務を経て92年に公認会計士2次試験合格。09年12月〜13年10月まで公認会計士試験委員(原価計算&管理会計論担当)。「高田直芳の実践会計講座」シリーズをはじめ、経営分析や管理会計に関する著書多数。ホームページ「会計雑学講座」では原価計算ソフトの無償公開を行なう。

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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

大不況により、減収減益や倒産に直面する企業が急増しています。この連載では、あらゆる業界の上場企業を例にとり、どこにもないファイナンス分析の手法を用いて、苦境を克服するための経営戦略を徹底解説します。

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