スウェーデンを称して“性の先進国”とたたえる向きもあるが、その先進国では勤務中にパートナーとの愛を育む“セックス休憩”をはさむべきだ――、という提案が地方議会でなされ話題になっている。

 提案者はオーベルトーネオ市議・ペルエリック・ムスコス氏だ。

 AFP通信の取材に対し、ムスコス氏は、現代はカップルが一緒に過ごす時間が不十分だと主張。今回の提案は、人間関係の向上と、カップルが“よりよい関係を築く”ためだと説明した。提案が、勤務時間中に一時間の“有給休暇”を取る、とあるのはそのためだ。

 なんとも、愛にあふれたプレゼンではないか。

 スウェーデンと言えば、つい数日前、トランプ大統領がスウェーデンでテロ事件が起きたかのような“誤報”をツイッターで飛ばしたばかりだが、六〇年代後半~七〇年代前半、スウェーデンで起こった“セックスフリー”という意識改革は世界中の若者のみならず中高年にも衝撃を与えた。

 若い人はセックスフリーという言葉をご存じないだろうが、当世風に言うなら“ジェンダーフリー”である。セックスフリーと聞いて、誰彼構わず性行為ができるものと解釈する御仁もいたようだが、そういった勘違いや願望的思い込みはとりあえず脇に置いておく。

 二年ほど前に週刊現代がスウェーデンの“性革命”を取り上げているのだが、セックスフリーとは何か、スウェーデン在住の中澤智惠・東京学芸大学研究員が説明している。

「それまではスウェーデンでもセックスは隠すべきもので、結婚するまでしてはいけないことだと抑圧されていたんです。それに反発するように女性解放運動が起こり、ピルが導入され、女性が妊娠を気にせずにセックスを楽しめるようになった。これで性規範がガラリと変わりました」

 セックスフリーがいかに衝撃的であったかは中澤氏の説明でわかるが、これを受けて週刊現代は書いている。

〈女性は慎ましくあるべきだと言われてきたのが一転、女性は自らの性欲に忠実であることが社会的に容認された。女性のほうから自発的に男性をセックスに誘い、快楽を求める。スウェーデンは“愛と悦楽の国”として世界に認められた(後略)〉

 性革命は当時のヒッピームーブメントと結びつき、ヒッピーと呼ばれた人たちは“ラブ&ピース”を唱えて反戦を訴え、セックスフリーや同性婚を求める運動に身を投じていくのだけど、性の解放や女性の社会的地位の向上、差別からの解放を訴えた運動はウーマンリブ運動と呼ばれた。