だが、この数字はその後低下の一途をたどり、1988年末には22.4パーセントという過去最低の数字をつける。

 個人に代わって株式を保有したのは、企業だった。いわゆる株式の持ち合いが始まるのである。株式を持ち合うことは、お互いの企業の信任の確認ともなり、一方で敵対的な買収の防衛手段にもなった。だが、それこそ、株を買おうにも、企業が持ち合っているためにマーケットに株式が出にくい状況が続いた。

 これでは、株式がマーケットでもまれ、正しい株式の価値をはかることは難しくなる。それは「市場原理」に基づいて自社の価値を評価されることを好まないという行動であり、市場における自由な資金調達を妨げる行動だった。

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なぜ、みんなが預貯金に向かうのか?<br />国につくられた“預貯金礼賛”

この連載は『預けたお金が問題だった。』(上阪徹著、ダイヤモンド社刊)を基に構成されています。

日本のお金の流れは おかしい!
そのツケは 若い人が負わされている。
素朴な疑問をきっかけに、金融の民主化というビジョンを描き、自分たちの手で、自分たちのための金融機関をつくった松本大とその仲間たちの挑戦と現在。  

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