工業都市として約110年の実績を持つ北九州市。災害が少ない土地の素性、アジアへ近いロケーションに加え、安定した人材供給、物流インフラの充実など、企業が立地するための多くの“値打ち”を持っている。同市が誇るポテンシャルを市のトップセールスを担う北橋健治市長に聞いた。

北九州市
北橋健治市長

1953年生まれ。兵庫県西宮市出身、東京大学法学部卒。86年衆議院議員初当選、大蔵政務次官、衆議院環境委員長、行政改革特別委員会筆頭理事などを経て、2007年2月北九州市長に初当選。11年2月から2期目。

「優先順位を付けるとすれば、まずBCP(事業継続計画)に最適な都市であることを訴えたいのです」と北九州市・北橋健治市長は切り出した。

 北九州市は、企業活動に大きなリスクをもたらす地震・津波などの災害リスクが低く、地震は過去100年間で震度5以上の観測が1回だけという事実。これは、プレート境界(南海トラフ)から遠く離れていることが理由と考えられるが、ここ数年、実際BCPの観点から、北九州市への企業進出が加速している。今年4月には「Yahoo!JAPAN」が災害時のリスク分散を目的にYahoo!ニュースの編集拠点を北九州市に開設、10月には三井生命保険が首都圏の災害時における顧客対応力強化のため、北九州お客様サービスセンターを稼働させる予定だ。

過去の全国的な地震発生箇所から見ても、北九州市は地震災害が非常に少ないことが分かる。近代産業の礎ともいえる官営八幡製鐵所の立地も、もともと地震などの災害が少ないことが理由の一つだった