わり算はなぜ大事なのか?

小学生からの暗算では遅すぎる ! <br />2歳から始めなさい!久保田 競
(Kisou Kubota)
京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。著書に、『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。

 高校で数学の成績に強く影響するのは、小4でのわり算・分数計算の成績です。

 R.S.シーグラーら(2012年)によれば、小学生の割り算・分数の成績で、5~6年後の高校での算数・数学の成績を予測できると報告をしています。

 わり算は、たし算、ひき算、かけ算の算数的知識、知能、ワーキングメモリーよりも、効果が強いと考えられます。

 この傾向は、中国人、ベルギー人でも認められたという報告もあります。

 また、ひと桁の暗算能力が高い高校生が、下頭頂小葉の血流活動が高くなる傾向があり、アメリカでは大学入学試験結果がいいということが報告されています(G.R.Princeら、2012;Journal of Neuroscience)。

 このようなデータから、就学前の暗算教育が大事であることが示さていれています。

幼ネズミの実験

 就学前の子どもで、海馬がどう働くのか、まだ研究報告はありませんが、ヒトの海馬の構造はいつ大人になるのかについては多くの研究報告があります。

 生後20週から生後6ヵ月で大人になるといわれています
しかし、記憶学習のデータはまだないので、いつごろ大人のように働くははっきりとは言えませんが、これまでの研究によれば、生後1年ぐらいと判断できます。
 実験用幼ネズミで目的地まで歩かせる訓練をしたら、生まれて17日目に乳離れし、21日目に、大人のようにあるいたという報告があります。

 子どもがいつから計算を訓練できるかは、その行動観察から決めていい。物の名前が理解でき、言えるようになれば、始めてよいのです。

 だから、1、2、3、4、5、6、7、8、9と連続して言えるようになれば、始めてよいのです。

 ひと桁のたし算、ひき算とかけ算を2歳以降に覚えるのがいいと思います。