2月22日、ドイツ国内での行政経験といえば市長だけ、対する相手は欧州最強の指導者だ。それでもドイツ社会民主党(SPD)のマルティン・シュルツ氏(写真)は、11年にわたるメルケル政権に終止符を打ち、欧州におけるドイツの役割を根本的に変えようと考えている。1月ベルリンで撮影(2017年 ロイター/Fabrizio Bensch)

[ビーレフェルト/ベルリン 22日 ロイター] - ドイツ国内での行政経験といえば市長だけ、対する相手は欧州最強の指導者だ。それでもマルティン・シュルツ氏は、11年にわたるメルケル政権に終止符を打ち、欧州におけるドイツの役割を根本的に変えようと考えている。

 彼がそれに成功しないとは言い切れない。

 9月24日に行なわれる独連邦議会選挙に向けて、ドイツ社会民主党(SPD)がメルケル首相に対抗する首相候補としてシュルツ氏を指名して以来、SPDの運命は一変した。

 メルケル首相が率いる保守派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との支持率の差は縮まり、ある世論調査では逆転にまで至っている。

 シュルツ氏とは何者か──。メルケル首相より1つ年下のシュルツ氏は61歳で、欧州議会の前議長だ。メルケル首相が物理学の博士号を持っているのに対し、シュルツ氏は卒業試験も受けずに大学を辞めて地方政界で働き始め、その後は欧州政界へと進んだ。メルケル氏とは比べものにならない雄弁さと親しみやすさが彼の強みだ。

 また、それ以上に、彼は「変化」を打ち出している。緊縮財政を強要して南欧諸国からの恨みを買うという従来のドイツの役割を捨て、国内では財政規律にそれほどこだわらず財政支出を増やそうとしている。

 行政府での経験がないシュルツ氏がメルケル首相に勝利することは大変な難業である。彼女は欧州の安定の礎石であり、オバマ前米大統領も、退任を控えて昨年11月にベルリンを訪問し、メルケル氏への支持を表明したほどだ。

 だが、シュルツ氏は意気軒昂だ。

「わが国に公正さを」。ドイツ北西部ビーレフェルトで20日に行なわれたSPDの集会で、シュルツ氏はそう叫び、数百名の支持者から喝采を浴びた。彼は党の支持基盤の掘り起こしのため、多くの街を訪れている。