アジアでの実績生かし
日本のIRに積極投資

 2013年の法案提出以来審議が続いていた「統合型リゾート(IR)を推進する法案」が昨年12月、衆議院で可決された。同法案は「カジノ法案」とも呼ばれ、IRに含まれるカジノ解禁の賛否についての議論が行われていた。これに合わせて、世界の大手IR開発・運営会社の日本への働き掛けが活発になっている。 

 中国・マカオやフィリピン・マニラで大規模なIRを展開し、ユニークかつ、世界最高レベルのエンターテインメントの提供に注力するメルコ・クラウン・エンターテインメント(MCE)も、これらアジア圏での事業実績を背景として日本でのIR開発に積極的な姿勢を打ち出しており、同社のローレンス・ホー会長兼CEOは2月22日、東京都内で会見を開き、日本におけるIRへの期待を次のように表明した。

  「マカオは、年間3000万人の外国人観光客を招致しています。ところが日本は、外国人観光客が増えたとはいえ、その数は年間2000万人台にとどまっているのには驚きです。IRを軸としたコミュニティを構築することは、観光客増加の起爆剤になるでしょう。カジノについても、マカオに次いで世界第2位になれると確信しています」

 ホー会長は、10年前から日本のIR施設市場に関心を持ち、日本ではまだあまりIRが話題にされなかった頃から、IR推進のため自ら熱心に関係業界や自治体に働き掛けを行ってきた。そうした活動を通じ、日本のサービスと、それを提供する人が持つ「品質・献身・情熱」に感銘を受けたという。

 同社は、今後も日本政府や地方自治体、企業などのパートナーと協力関係を築き、コンソーシアムを形成してIR開発を進めていく。そして、現段階では、日本でのIRに対して「金額に上限を設けない」投資を行う方針を明示した。