技術の伝承により
住宅再生に貢献

 このように長い間に蓄積したノウハウは次の世代へ引き継いでいかなければならない。スクエアJSには技術の伝承と技術者・技能者の養成を目的としたストック技術実習館があるが、諫早所長は「“技術の世代間伝承”を重視し、今秋敷地内に、職業訓練施設を竣工予定です」と明かす。

 JSはこれまで、団地に快適に住まうための黒子的な役割を果たしてきたが、今後は「当研究所が長年培ってきた技術を活用していただき、住宅ストックの再生に貢献したい」と諫早所長。団地の安全と快適を守るJSの役割は、ますます大きくなりそうだ。

昭和40年代の団地を再現して技術を検証
「ミクストコミュニティ」を目指す

「ストック技術実験館」では昭和40年代(設計図の制定年度は1965年度)の5階建ての住棟を建てて、標準的なUR賃貸住宅の住棟と部屋を再現している。
 当時は「憧れの公団住宅」の2DKと3DKの部屋だったが、現代のニーズに応える改修が必要となってきた。例えば当時の5階建て住棟にはエレベーターがないため、後付けPCエレベーターを開発した。PCと呼ばれる、あらかじめ成形してあるシャフト(縦穴)を積み重ねる工法を用いるため工期が短く、仮設足場も不要という特徴があり、居住者の高齢化にも対応した技術だ。
 昭和40年代の室内は現在に比べてキッチンが小さく、風呂場やトイレも狭い。そこで昭和40年代の部屋を子育て世代や高齢者に向けてリニューアルしたモデルルームをつくり、URや公営・公社、分譲管理組合などの顧客に選択肢の一つとして提案している。
 こうした提案は、高齢者から子育て世代まで多様な世代が生き生きと暮らせる住まい・まちである「ミクストコミュニティ」を目指すもので、諫早所長は「(URとの)共同研究や独自開発技術によって貢献していきたい」と意欲を示す。

 

問い合わせ先
日本総合住生活株式会社
ホームページアドレス:http://www.js-net.co.jp/about/lab-square-js.html