[香港/上海 1日 ロイター] - 中国当局が海外の債券投資家にデリバティブ市場を開放した。資金流出に歯止めをかけるのに役立ちそうだが、中国の資本規制を巡る懸念は根強く、海外投資家は警戒姿勢を緩めていない。

今回の措置は外国投資規則の緩和に続くもので、外国人投資家の誘致と債券市場への資金流入加速に向けて、当局が一段と取り組みを強化した格好だ。グローバル債券指数への中国の組み入れを後押しする可能性もある。

しかし市場へのアクセスや人民元の安定性を巡る懸念が資金流入を阻むと投資家はみている。

オランダの資産運用会社ロベコのシンガポール最高経営責任者(CEO)のモーリス・メイジャーズ氏は「中国からの資金回収の可能性について不明瞭な面があるのが気に入らない」と指摘。経済の基礎的諸条件やバリュエーションにも懸念があるとした。

その上で「中国に投資するには不適切なタイミングではないか。中国が実際にグローバル債券指数の組み入れに向かい始めなければ、当面は様子見で、投資家が殺到することはないだろう」と話した。

中国の債券市場は巨大だ。スタンダード・チャータードの試算によると、今年末時点のオンショア市場の発行残高は82兆元(11兆9300億ドル)と、昨年末時点の64兆3000億元から増加する見通しという。

しかし外国人投資家の比率は低い。中国国家外為管理局によると、昨年末時点の外国人投資家の保有額は前年比834億元増の8700億元だった。中国政府が対ドルで下げた人民元を守ろうと、資金流出を食い止めるための措置を講じたことが、外国人の債券投資の伸びを抑え込んだのは間違いない。

昨年は銀行間債券市場(CIBM)が規制緩和され、外国人投資家による人民元建て金融商品への投資促進が図られた。ただ、デリバティブ市場はまだ生まれたばかりで、少なくとも初期段階では難航しそうだ。

フィッチ・レーティングスのシニアディレクターのイン・ワン氏は「現在のデリバティブ市場は規模がまだ小さくて流動性も低い。新規則導入で外国人のデリバティブ取引が認められても、市場への効果は限られるだろう」と述べた。

当局は新規則導入でオフショアの投資家の調達コストが下がることも期待している。OCBC銀行のエコミスとのトミー・シー氏によると、オフショア人民元の資金規模が大幅に縮小して人民元の貸出金利とドルスワップレートのボラティリティが上昇。調達コストが不透明なことが外国の機関投資家の投資意欲を削いでいる。

また中国人民銀行(中央銀行)の調査部門チーフエコノミスト、馬駿氏は先週シンガポールで、外国人投資家向けに取引時間や決済期間の延長を検討していると述べた。

しかしグローバル債券指数への中国の組み入れへの道は険しく、中国のマクロ経済の動向に依るところが大きいだろう。

CSOPアセット・マネジメントのファンドマネジャー、パトリック・ソン氏は中国当局の最新の取り組みについて、現段階では象徴的な意味合いが強いと述べた。

(Umesh Desai and Winni Zhou記者)