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堀江 僕、それ全然知らなかったんですよ。予防医療普及協会で幾つかやろうと思っていることの中で、婦人科の先生に話を聞く機会があって初めて聞いたんです。あとそれでいうと、ピロリ菌の検査って「ラピラン(R) H.ピロリ抗体スティック」というキットで尿検査をやっています。

 これは妊娠検査薬と同じで誰でも簡単にできるのに、医師以外は使っちゃいけないんですよ。妊娠検査薬は薬局で買って自分でやっていいのに、ピロリ菌検査はダメ。妊娠は病気じゃないけど、ピロリ菌がいるということは病気の診断につながる。だから病気の診断は医師しかできないという理屈。やっていることは一緒なのに、意味分かんないですよね。

大腸がん、増える日本と
減るアメリカのシステムの違い

豊田 アメリカは国民皆保険じゃない。だから「行ける病院は限られるけれど、安い保険でよい」だったり、反対に「高い年間保険料を支払う代わりに、どこの病院でも行ける保険に入りたい」というふうに皆、自分で選ぶんです。そこで医療にどうやって向き合うのか毎年考える状況になる。病院や薬の広告も沢山流れてきますよ。

 そういうのに触れていると「病院ってどうやって選んだらよいのか」を常に考え続けるんです。日本って「健康」というワードは好きなのに、対義語である「病気」に対しては目を背けがちだと思います。

堀江 僕は、オバマケア(*)の話って日本ではだいたい賞賛されるけど、それってちょっと違うよねって思ってる。自由診療を基本とするアメリカで、オバマケアによって日本の皆保険制度のように、必ずどこかの公的医療保険に入らなきゃいけなくなった。でもそこに医療リテラシーは全くなくて。しかも意外と保険料が高いんですよね。

 一方日本の医療でいうと、医師はブラック労働だと思っている。皆保険制度はそのブラック労働に支えられている面もあるんだけど、僕は絶対おかしいと思っていて。そんなことで皆保険制度を維持するくらいなら、もっと保険料高くて良いから休ませてあげてって思う。

豊田 その代わり万全のコンディションで手術をするということですよね。私も脳外科だったので徹夜明けの手術も普通にありましたし、それは全国的に同じことが言えると思います。

堀江 絶対嫌だもん。徹夜明けの脳外科医の手術なんて。

 予防医療の観点から海外との違いをいうと、一番典型的なのは大腸がんの予防で、アメリカは罹患率が減っているが日本は増えている。大腸がんの原因は欧米型の食生活だと言われるけれど、アメリカは毎日ステーキやハンバーガー、なのに減っている。なんでかっていうと、単純に大腸内視鏡検査を定期的に受けると保険料が安くなるから。2年に1回、内視鏡検査を受ければ確実に大腸がんの罹患率、死亡率は下げられます。日本は大腸がん検診には便潜血反応が使われているけれども2割弱しか受けていない。内視鏡検査を受ける手前ですでに意識が低いんです。

*オバマケア……米国のオバマ前政権が推進した医療保険制度改革法の通称(公約に掲げたオバマ前大統領の名前と健康管理=ヘルスケアを組み合わせた造語)。 この制度はより多くのアメリカ国民に医療保険に加入してもらうことを目的とする。 自由診療を基本とする米国では、医療費が高額であるため、多くの国民は民間の医療保険に加入している。最近トランプ大統領が、オバマケアに代わる新しい案について「完成は近い。近く提出する」と述べたことでも注目が集まる。