なぜ、地方の国立大学から、
日本記録が次々生まれるのか?

2時間で足が速くなる!
川本和久著 ダイヤモンド社刊 1429円(税別)

 私は福島大学陸上部の監督をしていますが、福島大は地方の国立大学でありながら、日本記録を量産しています。

 女子400メートルの日本記録を持つ丹野麻美は、現役の大学4年生です。同じく日本記録を持つ走り幅跳びの池田久美子(スズキ)や日本記録を7回も塗り替えた400メートルハードルの吉田真希子(ナチュリル)は卒業しましたが、現在でも福島大で練習を続けています。

 2006年のアジア大会では、教え子たちが金(走り幅跳び)・銀(400メートルハードル)・銅メダル(400メートル)を獲得しました。

 2007年5月の国際グランプリ大阪大会では、女子1600メートルリレーで6年ぶりに日本新記録が誕生しました。

 この時は、現役の丹野と、卒業生の吉田、久保倉里美(新潟アルビレックスランニングクラブ)、木田真有(ナチュリル)の4人がバトンをつなぎ、世界選手権参加標準記録を突破する3分30秒53をマークしました。

 2007年夏の世界陸上大阪大会には400メートルの丹野ら学生3人、走り幅跳びの池田ら大学を拠点に競技を続ける卒業生4人の計7人が出場するなど、最近の日本女子陸上界をリードするアスリートの多くが福島大から誕生しています。

 その理由は、彼女たちが「ニュートン力学」にかなった正しい走り方「ポン・ピュン・ラン」を身につけたからです。ポン・ピュン・ランとは、地面からの反発力を活かし、軽やかに「ポン」と弾み、脚が着地した瞬間、その脚をもう片方の脚で「ピュン」と追い抜く走り方です。

カール・ルイスの練習風景が
画期的新走法のヒントに

 私は長い年月をかけて、この新走法を完成させました。高校、大学でスプリンターだった私は「どうしたら速く走れるのか?」に対する答えを見つけたいと、大学院でコーチ学を学び、指導者への道を歩みはじめました。