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日本を元気にする新・経営学教室

生産者による小売価格の制限は
いつも消費者の余剰を減少させるか
京都大学大学院経営管理研究部教授 成生達彦

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],髙木晴夫
【第12回】 2011年4月25日
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垂直的価格制限を行う狙い

 生産者が消費者に直接販売することは稀で、その過程には多くの場合、卸や小売などの流通業者が介在している。生産者と小売業者からなる単純なチャネルを想定したとしても、両者の間での取引様式にはさまざまなものがある。

 生産者による小売業者にたいするコントロールという観点からみれば、一方の極には(出荷価格を提示するだけの)市場取引があり、他方の極には、生産者による包括的なコントロールを意味する垂直的統合がある。そしてその中間には、部分的なコントロールを目的とした多様な取引様式が存在する。

 このことの背景には、垂直的統合には多くの費用がかかるし、また市場取引のもとでは、自らの利潤極大化を行動目的とする小売業者が、生産者またはチャネル全体にとって望ましい行動をとるとは限らないという事情がある。そのため、チャネルリーダーとしての生産者は、チャネルを効率的に運営し、自らの利潤を最大にするために、小売業者の行動にたいしてさまざまな制限を加えるのである。

 小売業者は、何(商品)を、誰(顧客)に、いくら(価格)で売るかを決めるわけであるから、生産者による小売業者の行動に対する制限として、①価格設定を制限する定価制や再販売価格維持制度(再販制)、②顧客を制限するテリトリー制、③取り扱い商品を制限する専売店制や抱き合わせ契約、などが考えられる。今回は、生産者による小売価格の制限について検討する。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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