今、全国のマンション管理組合に口コミで広がっている大規模修繕の“駆け込み寺”がある。その名は外装専科。本当に必要な工事を顧客の立場に立って提案、同業他社より3~4割安価になる見積書を作成する。なぜそれが可能になるのか、伊藤洋之輔社長に聞いた。

マンション管理組合から
悲鳴のような相談が届く

外装専科
伊藤洋之輔 代表取締役社長

「修繕積立金の2~3倍の見積もりを出されて困っている」「見積金額が高くて借金しなければ大規模修繕ができない」外装専科には全国のマンション管理組合から、そんな悲鳴のような相談が日々届くという。

 特に大規模修繕を行うのが初めての管理組合の役員は、その見積額が妥当なのか、工事の内容が最適なのかも判断がつかない。「そもそも大規模修繕という言葉自体が誇大です。実際に行われている工事は、ひび割れ補修やタイルの貼り替え、外壁の塗装や防水工事など、建物の表面的な工事がメインで、建物の寿命を大きく延ばすものではありません。大規模という言葉に惑わされ、本来かかる費用以上の高い工事費を払っているのが実態なのです」と外装専科の伊藤洋之輔社長は言う。

 さらに「修繕積立金」という存在も問題だという。業者からすると修繕積立金とは消化するための予算で、だからこそ「見積金額が修繕積立金の総額と一緒」などという奇妙なことがまかり通ってしまう。外装専科は、そうした業界の“常識”にとらわれず、徹底して管理組合の立場に立った提案を行うことで、他社と比べて3〜4割安い低コストを実現、今や“大規模修繕の駆け込み寺”として全国に名を知られるようになっている。

不要不急な工事
過剰な工事仕様は削除

外装専科では、主にゴンドラやロープを使用したブランコ足場を多用 外装専科が手掛けた高層マンション

 ではなぜ低コストが実現できるのだろうか。その一つは、建物の状況に合わせて足場を選択することにある。「外装専科では、建物の形状や劣化の程度に応じ、組み立て足場だけに限定せず、ロープを使ったブランコ足場やゴンドラ工法によって外壁の補修や塗装工事を行い、高額な足場費用を削減しています。組み立て足場の費用は修繕費の20〜30%を占めるなど高額で、それだけでも大きなコストダウンが実現します」と伊藤社長は明かす。

 さらに同社では、今すぐ施工しなくてもよい不要不急な工事や、過剰な工事仕様などは徹底して削除、本当に必要な工事内容を中心に、改修工事の提案をしている。

 例えば塗装工事の場合、通常大規模修繕というと、外壁塗装で3回塗りが常識だが、廊下やバルコニーの内壁など雨の当たらない場所は、1回塗りで仕上がる「ワンコートシステム」を採用している。さらに外装タイルについても過剰に補修枚数を増やさず、タイル貼り替え時に発生する、みにくい色ムラを防ぐ外装専科の特許工法で工事を行う。