孫社長のダントツ成長戦略の秘密とは?

 それに対して、ソフトバンクの場合は違います。

 ソフトバンクには厳密な本業というのがありません。

 孫社長の戦略はちょっと難しい言い方になりますが、「自社が優位性を獲得できる可能性のある新しい市場を探索・選択し、その優位性を確立するためのヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を交渉によって短期間に調達し、一気にナンバーワンをめざす」というものです。

 つまり、新規事業をどんどんつくっていき、その事業を成長させることで企業規模を拡大していくということです。

 実際に、ソフトバンクのグループ企業は実に多くの分野にわたっています。通信事業から携帯電話の流通事業、金融業、球団の運営、情報発信サイト、出版、発電事業、ゲーム事業、ロボット事業……と数え上げるときりがありません。

 最初は孫社長が社長に就き、ある程度規模が拡大すれば部下に会社を任せ、次なる新規事業の育成へ切り替えます。

「将来、どの事業が成長しているのか」ということは誰にもわかりません。

 だから、できるだけ多くの手段を考えて、それを実行する。そうすることで目標の実現可能性を最大化していったのです。

 ですから、普通の企業とは違って、ソフトバンクは成長の過程で多くのM&Aを行ってきました。

 これこそまさに高速PDCAです。

 つまり、今後伸びそうな事業は何かを分野を問わず探し、可能性があると思えば次々に投資していく。その中から伸びそうな事業に資源を集中し、急拡大させていく。最初に本命の事業はなく、成長したものが本業の一つになっていく。

 Yahoo!やADSLをはじめとして、すべての事業はこの方法で発掘され、その中から生き残ってきた事業です。

 このように、他の会社が、自社の本業で一生懸命になっている横で、矢継ぎ早に主力の事業を立ち上げることで、ソフトバンクは急拡大してきました。