[ブリュッセル/東京 8日 ロイター] - バーデンバーデン(ドイツ)で17日から始まる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で採択される声明の草案で、これまで盛り込まれてきた保護主義や競争的な通貨切り下げに「断固として反対する」との文言が抜け落ち、市場関係者ばかりでなく、日本政府内にも様々な波紋が広がった。

一部では、トランプ米政権の誕生で議長国ドイツが「合意ライン」を模索しているとの見方も浮上。今後の行方に関心が集まっている。

「明らかにおかしい」──。これまで「あらゆる保護主義に反対する」としていたG20声明。ロイターが入手した草案では「公正で開かれた国際通商システムを維持する」と記述が変更された。日本政府関係者の中からは、この文言変更に疑問符を投げかける声が出ている。

一方、為替に関する「競争的な通貨切り下げを回避し、競争目的で為替をターゲットとしない」との文言も消え、「従来の為替相場のコミットメントを再確認する」となった。ここでも事情に詳しい海外の当局者は、首をかしげる。

為替について、G20共同声明は長年にわたって「為替相場の過度なボラティリティーや無秩序な動きは経済や金融安定に悪影響をもたらすおそれがある。為替相場について緊密に連携する」との表現が盛り込まれてきた。しかし、入手した草案には、これらも含まれていない。

今回のG20財務相・中銀会合は、保護主義的な通商政策を掲げるトランプ米大統領の登場以後、初めての開催となる。別の当局関係者は「米政府の新たな立場を反映し、文言が変更されたのでは」と指摘する。

もっとも、ドイツはこれまでも「コミュニケが長すぎる」「サミットまでのプロセスが煩雑」などと、G20の簡略化を訴えてきた経緯がある。

現状の草案を踏まえ「為替のいつもの文言が消えたと報道され、市場がどう反応するか、探る意図があったのでは」と、政府関係者の1人はみている。

共同声明が発表される18日まで残り10日間。本格的なコミュニケ・セッションを経て、結論を得るまでに一段の曲折も予想される。

(ポリシー取材チーム 編集:田巻一彦)