[東京 9日 ロイター] - 東京電力の公募増資に関する情報を外部の顧客に漏らしたとして、野村証券を2012年に懲戒解雇された40代の元社員(男性)が、雇用の継続を求めて起こした裁判で、東京高裁(後藤博裁判長)は9日、解雇は無効とする判決を下した。

野村ホールディングス <8604.T>の広報担当者は、個別事案のためコメントは差し控えるとした。同社が上告するかが焦点となる。

裁判で争点になったのは、野村の機関投資家営業2部に所属していた元社員が、1)顧客に情報提供をするために「バリュエーションシート」と呼ばれる資料を入手したこと、2)夜の会食予定を入れても業務に差し障りがないか、同社内で確認したこと──といった点が、増資の可能性の判断に影響を与える情報の入手にあたるかどうかなど。

後藤裁判長は、いずれについても重要事実を知ったことには相当しないと判断した。

元社員は未払い賃金の支払いと慰謝料を求めていたが、慰謝料の請求については棄却された。

これに関連し、元社員から東電の増資情報を入手し、インサイダー取引をしたとして課徴金の納付命令を受けた元金融コンサルタントが、インサイダー取引を否定し納付命令の取り消しを求める裁判を起こしている。東京地裁は16年9月に金融庁の命令を取り消す判決を出し、国が控訴している。

(江本恵美 編集:田巻一彦)