電子書籍が紙の本より売れた!
昨年を代表する電子書籍に

――この本を電子書籍化したきっかけは?

中鉢 昨年、会社として電子書籍に本格的に取り組んでいこうということになり、2010年4月にダイヤモンド社のiPhone版電子書籍が3点リリースされました。翌月の5月に第2弾6点をリリースすることになって、そのうちの1点に『適当日記』が入りました。

 当時は会社としても電子書籍の経験は皆無に等しい状態。ならばいろんなコンテンツを出してみようということになって、その一貫で選ばれたんです。というか、それしかないと思います。

『適当日記』(後編)<br />業界の常識をくつがえす「紙の本超え」の売上で、<br />電子書籍を代表する一冊に。<br />『適当日記』ファミリー。左からiPhone、iPad、そして紙の書籍。累計16万5千部を超える。

――でも、こんな「らしくない」本が選ばれたのは意外。

中鉢 個人的には意外ということはなかったんですが。ただ、当時はどんなコンテンツが電子書籍で受けるかまだ未知数な頃だったんです。市場も成熟していない中で。であれば、実験としては多様なものを試そうと。

 ただ、iPhoneアプリは、こちらが制作した後にアップルの審査があって、それを経て発売できるのですが、カバー(電子書籍では表紙ですが)がアレなので、もしかしたら審査が通らないんじゃないかと、そんなことも考えていました。

――でも無事に審査もクリアした。

中鉢 はい、他社さんの状況も聞いていて五分五分、下手したら7:3でNGかなとも思っていたのですが、審査も無事通り、晴れて発売できました。同僚とは、「天狗の面は日本の伝統芸術だからOKだったんじゃないか」と話してました(笑)。