――結果として断トツで売れた。その理由は?

中鉢 『適当日記』単独での仕掛けという意味では、発売当初はそれほど行っていません。手探りで電子書籍をはじめた。その中でけん引役になってくれたのが『もしドラ』でした。実際の書店でベストセラーになっている本が電子書籍でも出たということで、ダイヤモンド社の電子書籍への注目は集まったんだろうと思います。その直後に『適当日記』が出た。ツイッターでつぶやいたりはしましたが、個人的には何がどう作用するのか、理解していなかった気がします。

――出足はどうだった?

『適当日記』(後編)<br />業界の常識をくつがえす「紙の本超え」の売上で、<br />電子書籍を代表する一冊に。<br />iPhoneアプリ版『適当日記』より。脚注は、文中の青い「*」を押すとポップアップで表示される。「*」を押した画像はこちら

中鉢 出てすぐに売れたんです。あっという間にアプリの書籍部門で1位になって、その3日後には、ゲームを含めた全有料アプリの中でも1位になりました。ユーザーの方のレビューがめちゃくちゃ早く溢れました。社内でも「なんで『適当日記』が売れたんだ?」と、訝しがる声のほうが多いくらいで。

 結果的に一つのニーズとして、細切れでスキマ時間に読めて楽しめるもの。こういうニーズに合致していたんですね。当時は、電子書籍自体がまだ少なくて、読んで楽しめるものがあまりなかったからかもしれません。

――電子ではどのくらい売れた?

中鉢 いま現在で13万部(ダウンロード)ですね。紙の本が3万5000部なんで、その4倍くらいですね。本当に、ようやく高田さんに顔向けできるなと思いましたね。

 ちょうど昨日(4月27日)、雑誌『ダヴィンチ』主催のダ・ヴィンチ電子書籍アワード2011で、特別賞をいただくことができました。

――受賞について高田さんは?

中鉢 高田さんは、「特別賞をいただいたということは、大賞はないということだね」と(笑)。

 昨日は、ちょうどアンドロイド版の『適当日記』も発売になりました。これもどう動いていくのか楽しみです。