[ロンドン 9日 ロイター] - 17─18日にドイツで開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明は、草案の段階で為替相場の安定維持をうたうお決まりの文言が削除された。貿易赤字解消のためドル安を望むトランプ新政権の真意を映したとみられ、このままの形で採択されれば為替市場に転機をもたらすかもしれない。

ロイターが入手した草案は、昨年の声明に盛り込まれた為替相場の「過度のボラティリティー」や「無秩序」な動きへの言及が抜け落ち、「競争的な通貨切り下げ」を回避するとの言い回しも削除された。

一方で「行き過ぎた世界的な不均衡」という文言が約10年ぶりに復活。多額の貿易黒字を抱えるドイツや中国を狙い撃ちにしているのは明白だ。

こうした文言の修正からは、米政府が内心では根強い貿易赤字や製造業凋落の原因とされるドル高に苛立ちを感じていると読み取れそうだ。

通貨戦争はだれも望んでおらず、「過度のボラティリティー」などの文言が最終的に復活することもあり得る。ただ、最終的に声明が草案に近い形になれば、トランプ米政権が為替や貿易に影響力を行使していることを示す明白な証拠となる。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのグローバル金利ヘッドのサイモン・デリック氏は「過去においてG7やG20の声明文は、具体的な行動を正当化したり、はっきりとした警告を送るのに利用されてきた。声明の文言が為替政策の変数であるならば、文言の変化は重大な意味を持つ」と指摘する。

デリック氏によれば、2003年のドバイ会合の声明が為替レートの「柔軟性」に言及し、04年のボカラトン会合で「経常収支の世界的な不均衡」という文言が入ると、日本は04年に円売りの市場介入を中止した。

G20加盟国は自国通貨高を望んでいないが、貿易が国際政治の課題に返り咲いたこのタイミングで「世界的な不均衡」という文言がG20声明に復活するのは、「明らかに強いメッセージを送ることを意図している」と同氏はみる。

G20の政府高官は、外為市場にどのようなシグナルを発するかについてまだ協議が続いていると述べた。その上で「どのようなものに」なるにせよ、絶対に市場に誤解されないようにしたい」と語った。

トランプ新政権は、為替相場を操作して自国製品の競争力を高めているとして、米国の主要貿易相手国5カ国のうち日本、中国、ドイツの3カ国を非難し、為替市場のボラティリティが高まった。ドル指数は1月に14年ぶりの高値をつけ、外為ストラテジストを対象としたロイターの調査では今後1年間にさらにドル高が進むと予想されている。

ムニューシン米財務長官は、強いドルは国益にかなうという従来からの米国の主張を繰り返し表明しているものの、短期的には「プラスではない部分がある」と警告。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事に対し、為替レート政策について「率直な」分析を行うよう期待すると述べている。

(Jamie McGeever記者)