能力の3割増しだと
負担が大きくヤル気が削がれる

 ここをまず踏まえたうえで、それではすべからく欲は持たないほうがいいかというと、そんなことはありません。「もっといい仕事がしたい。そうして世のため人のために尽くしたい」というような意欲は“別物”です。

 リーダーはむしろ、自分自身と部下の能力向上を「もっと、もっと」と求めるべきです。ただし、これも行きすぎは禁物です。

 私自身も住職を務めるかたわら、庭園のデザインや大学での授業、本の執筆など、さまざまな仕事をするなかで、日ごろ思っているのは、

「自分の能力の2割増しくらいで仕事を請け負うのがいい」

 ということです。

 3割になると負担が大きすぎて、押し潰されかねません。「自分にはムリなんじゃないかな」という気持ちのほうがまさってしまい、いまひとつやる気が削がれる部分もあります。結果は推して知るべし、です。

 しかし2割くらいだと、「よし、やってやるぞ」という心意気が湧き出てきます。「がんばれば、できそうだ」と前向きに取り組むことができるわけです。そうなると実際、能力以上の仕事ができるものなのです。

 ですから、自分自身の仕事に関してだけではなく、部下にも「能力の2割増し」の見当で仕事を与えるのがいいかと思います。

 なかには「その仕事をやるにはまだ力不足で」とか「ほかの仕事で手いっぱいで」などと及び腰になる部下もいるでしょう。そういう人には「能力の2割増しくらいの仕事をこなす、その経験が能力をどんどん上げていくんだよ。このチャンスを逃したら、君にはもう2割減の簡単な仕事しか来なくなるよ。そこで成長もストップだ」などといってあげてください。

 このように、仕事における「少欲知足」は、自分にも部下にも多くを求めすぎず、しかし成長速度が加速する「2割増し」を目安にするといいでしょう。

(曹洞宗徳雄山建功寺住職 枡野俊明)