しかし、この機械装置のように何年にも渡って使用するものの場合、購入した年に購入代金の300万円を全額費用としてPLに記入していいでしょうか。よくないですよね。なぜなら、この機械装置は何年も使うものです。PLは毎期の正しい利益を計算する表ですから、何年にも渡って使う機械装置を買った年に全額費用とすると、機械装置を買った年だけ利益が悪くなり、その次の年からは機械装置の費用が無視されることになります。

 このような何年にもわたって使用するものの毎年の費用については「減価償却」という考え方を使います。このことについては次回のコラムで詳しく説明しますので、今回は取り敢えずPLの費用は無視しておいてください。

 BSの右側は何も変化ありません。BSの左側はこの機械装置300万円を現金で購入したのですから現金はもともとあった1,100万円(図4-4)から機械装置の購入代金300万円が減って800万円(=1,100万円-300万円)になっていて、機械装置のところに300万円が記入されています。これは、借入金200万円、資本金300万円、利益剰余金600万円の3つの方法で集めてきたお金の合計1,100万円が、いま現金の形で800万円、機械装置の形で300万円会社の中に存在しているということを表しているわけです。

 このように私たちがよく知っている収支計算書をベースにして、同じ取引をPLとBSに展開する方法で会計を勉強すればPLとBSの意味するところが簡単に理解できます。

  次回は現金の動きの伴わない取引を説明します。現金の動きの伴わない取引がわかれば複式簿記の会計は理解できたと思っていいでしょう。楽しみにしていてください。

 

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