エレベーターリニューアル
の必要性

 そもそも、なぜエレベーターはリニューアルが必要なのか。

 エレベーターも家電製品や自動車などと同じように、機械である以上老朽化は免れない。定期的なメンテナンスを施すことで安全に利用することはできるが、時がたてば電子機器の劣化や機械部の摩耗などメンテナンスでは防げない問題も起こってくる。

三菱電機ビルテクノサービス 昇降機保守事業本部 モダニゼーション推進室
販売推進グループ
近藤宏樹

 エレベーターの法定耐用年数(減価償却)は税法上17年。メーカーによって差はあるが、主要な装置の耐用年数は約20年で、部品供給期間にも限りがある。つまり、20年以上経過したエレベーターは、年々メンテナンスも難しくなってくるため、リニューアルを考えなければならないということなのだ。

 また、大きな地震や事故があるたびに、エレベーターの安全に関する法律は、これまで不定期に改正されてきた。「そのたびに、新築ビルのエレベーターには新しい安全装置の設置が義務付けられます。既設のエレベーターを現行法に適合させる義務はないのですが、より高い安全性の確保や社会的な要求に応えるためにも、新しい機能を備えたエレベーターにリニューアルする方が建物の資産価値の面からも望ましいのです」

 そう語るのは、三菱電機ビルテクノサービス昇降機保守事業本部の近藤宏樹氏だ。

リニューアルで地震に強く
安全機能も充実

 生活に密着しているエレベーターには、安全であることと同時にさまざまなトラブルがあっても使えることが求められる。

 Elemotion+[ZERO]でリニューアルすることによって、地震の際の対応力が高まる。地震の初期微動(P波)を感知すると、最寄りの階に着床してドアを開き、乗客を降ろす「地震時管制運転装置」の他に、リニューアル後の保守契約メニューで「地震時エレベーター自動診断&復旧システム『エレクイック』」の導入も可能となる。エレクイックは、地震によって休止したエレベーターを自動で診断し、異常がなければ自動復旧させることができる。

 地震時管制運転装置が装備されたエレベーターでは、一定規模以上の地震が発生すると自動で最寄りの階に停止し、運転を休止する。運転を再開させるには、保守員が1台1台点検して安全の確認を行う必要があるため、長時間にわたって利用者がエレベーターを使えない状況が発生してしまう。エレクイックは、こうした利用者の不便を少しでも早く解消することができるサービスである。

 また、万が一ドアが閉じる前にエレベーターが昇降した場合、自動的にエレベーターを制止させる「戸開走行保護装置(UCMP)」や、停電時などにバッテリーで最寄り階まで自動運転する「停電時自動着床装置(MELD)」など、最新のエレベーターに設置が義務付けられた安全・耐震装置が標準装備されている。さらに、ドアの開閉動作前や戸閉動作中に出入り口上部に設けられたLED表示灯が赤く点滅し、ドアの動きを分かりやすく知らせてトラブルを防ぐ「ドアシグナル」などの機能も搭載されている。

 エレベーターは、建物になくてはならない設備であるからこそ、トラブル・事故を最小限に抑え、生活や事業に影響が出ないことが求められるのである。