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吉田恒のデータが語る為替の法則

ドル安は5月にクライマックスの可能性大!
カギはヘッジファンドの手仕舞いと米金利か

吉田 恒
【第130回】 2011年5月3日
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 米ドルは、3月18日にG7(先進7ヵ国財務相・中央銀行総裁会議)による協調介入が行われた81円近辺まで値を戻してきました。

 これは、米ドルの大底打ちを再確認する「二番底」の動きでしょうか? それとも、米ドルはまだ底を打っていないのでしょうか?

 それは再度の「円売り介入」と、もう1つ、最近の米ドル全面安の行方しだいだと思います(「『二番底』確認か? 底割れか?重要な『審判のとき』を迎えたドル/円相場」を参照)。

 そして私は、この5月に米ドルの下落が一巡すると考えています。

なぜ、米ドルはここに来て全面安となっているのか?

 米ドルは、3月中旬以来となる80円割れを試しかねない動きになっていますが、ただ、あの3月中旬と最近ではちょっと趣が違うと思います。

 簡単に言うと、3月中旬は「円全面高」だったのに対し、最近は「米ドル全面安」の様相だということです。

 なぜ、ここに来て、米ドルは全面安となっているのでしょうか?

 この点については、欧州などが利上げに転換し始めたのに対して、米国は依然として早期の利上げ観測がないことから、金利差の見通しで、米ドル売りが止まらないとの見方が一般的のようです。

 確かに、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが、年内に行われる見通しはほとんどありません。

米ドルはかなりの「売られ過ぎ」となっている可能性がある

 4月末に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、「異例の低金利を長期間続ける」といった表現が変更されるかについて、専門家の間で注目されました。

 それは、かつて、2003年から2004年にかけて、FRBが超金融緩和策の是正に動き始めたケースが意識されていたからです。

 どういうことかと言うと、「資料1」のように、2003~2004年の金融政策の転換において、独特の表現が見直されてから約半年後に利上げが始まったということです。

 ところが、4月末に行われたFOMCで、表現の見直しは行われませんでした。

 その意味では、FRBはまだ、半年以内の利上げ開始を想定していないと受け止められたわけです。

資料1

 

 これは確かに、米ドルがまだ力強く上がって行けない理由の1つだとは思います。

 ただ、これまで広がってきた米ドルの全面安が一段と続く理由かとなると、それはどうでしょうか?

 この間の米ドルの全面安で、米ドルはかなりの「売られ過ぎ」、「下がり過ぎ」となっている可能性があります。

5月と11月はヘッジファンドがポジションを手仕舞う時期

 たとえば、「資料2」は非米ドル主要5通貨のポジションから試算した米ドルのポジションですが、米ドルは3月以降、かなりの「売られ過ぎ」となっていることがわかるでしょう。

資料2

 

 そして、もう1つ重要なことは、米ドルのポジションは「売り越し」でも「買い越し」でも、15万枚前後を超えると行き過ぎ圏で、とりわけ、それが5月や11月前後なら、ほぼ必ず反転していたということです。

 5月と11月は、代表的な投機筋であるヘッジファンドの中間および本決算期に当たるため、ポジションの手仕舞いが行われやすい傾向があります。

 そうであれば、今回の場合も、米国の低金利を受けて続いてきた米ドルの「売られ過ぎ」も、いったんは手仕舞いで買い戻され、米ドル売りが縮小に転じる可能性は高いのではないでしょうか?

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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