減価償却を理解する

 最後は減価償却の説明です。減価償却という考え方は複式簿記の会計においての非常に面白い仕組みです。第4回のコラムで機械装置を300万円で購入したことはBSに記入しましたが、この機械装置の費用はPLにはまだ記入していません。この機械装置を使って事業運営をして利益をあげるのですから、その期の正しい利益を計算しようと思えば何らかの形でPLにこの機械装置の費用を記入しておく必要があります。

 第4回のコラムで説明したように、この機械装置の代金300万円を買った年にすべてPLに記入すると毎年の正しい利益が表せませんね。機械装置のように何年にも渡って使用するものについては、その使用年限に按分(分割)して費用を記入するのです。仮にこの機械を6年使用するとすれば、毎年の機械装置の費用は50万円(=300万円÷6年)になります。この50万円を機械装置の減価償却費と言います。この減価償却費50万円を3表に記入すると次のようになります。
 

現金の動きを伴わない取引がわかれば<br />会計は理解できる図5-5 減価償却費50万円の記入

 減価償却費を記入しても収支計算書は変化しません。機械装置の代金は機械装置を購入したときに既に支払っています。減価償却費という機械装置の1年間分の費用をPLに記入するだけです。