[上海 14日 ロイター] - クルーズ客船コスタ・セレーナ号が韓国の観光地、済州島に到着したとき、バイ・リユンさんは船内にとどまった。船内では、クルーがマジックショーやゲーム、ワインテイスティングを開催していた。

船内に残ったのは彼女だけではない。

3000人以上乗船していたとみられる中国人のほとんどが、物議を醸している米ミサイル防衛システムの韓国配備に対する中国政府の激しい反発に連帯を示すため、コスタ・セレーナ号から降りなかった。

「私たちは一日中ずっと、クルーズ船で過ごした。とてもハッピーだった」と、中国西部の甘粛省から来たバイさんは14日、帰路につく途中で下船した上海でこう語った。

「この特別な時期、中国人として私たちは政府の呼びかけに必ず応じるべきだ。つまり、済州島に行かないことだ」

その決断によって、韓国メディアの報道によると、済州島の港ではツアーガイドたちと約80台の観光バスが待ちぼうけを食らった。

中国は、米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の強力なレーダーが自国の安全保障にとって脅威だとして、同システムが韓国に配備されることに公然と異を唱えている。

一方、韓国と米国は同システム配備について、北朝鮮によるミサイル攻撃の高まる脅威から韓国を守るために導入されると主張している。

それにもかかわらず、中国政府は、報復として韓国企業を狙い撃ちしていると明言してはいないものの、韓国と取引する企業や韓国で活動する企業に対する圧力を強めている。

韓国への影響は大きく、とりわけ観光業は打撃を受けやすいセクターだ。韓国のデータによると、同国を訪れる観光客の約半数は中国人である。

中国東方航空<600115.SS>や春秋航空<601021.SS>のような航空会社は先週、中国東部の浙江省寧波市と済州島間のフライトをウェブサイトで提供するのを停止した。

済州島での下船をボイコットするという決定は、大半が直販会社「緑之韻集団」の社員旅行で乗船していた中国人観光客の間で互いに得られた「コンセンサス」だったと、同社の広報担当は語った。

また、同社がまもなく声明を発表すると、別の広報は述べた。

緑之韻集団の社員であるバイさんによると、旅行前に韓国の地を誰も踏まないようにと提案するメッセージが同僚の間で回っていた。済州島の港に船が着く前に、会社が正式に決定したという。

マスカラから音楽まで韓国の輸出品は中国で広く人気を得ている一方、中国共産党によって巧妙にかき立てられた愛国心が、外交的なもめ事に直ちに加勢し得ることを今回のボイコットは示している。

バイさんと一緒にクルーズ船に乗った親戚の女性は、ボイコットは正しい決断だったと話す。

「(THAADは)中国人にとって脅威」だと述べ、「断固反対しなければいけない」と語った。

上海で下船した湖南省出身の乗客の1人によると、乗客たちは済州島で船から降りないように言われたという。だがこの男性は、そのような行動の効果を疑問視している。

「今回の旅はショッピングがすべて。観光はしないで、ひたすら買い物をするというもの。たくさんお金を使った」と、20代前半のこの男性は話した。

「少なくとも済州島で買うものは何もなかった」