オバマ政権の頃、中国はこうした対話には乗ってこなかった。しかし、中国はトランプ政権の予想外の行動には一目置いているのである。2月27日、トランプ大統領が米国を訪問した楊国務委員と会談したのも米国の危機感を示したものではないか。

 また、北朝鮮政権を交代させるためには、内部からの手引きが必要である。それは米韓にできることではなく、中国の方が人脈もあるはずであり、誰が自分の身の危険を感じているかもわかっているはずである。その意味でも中国がキーパーソンである。

大統領を罷免している場合ではない
韓国はもっと危機感を抱くべき

 こうした北朝鮮の状況にもかかわらず、韓国の危機感の欠如については2月20日付の寄稿「邪魔なら兄をも殺す国を隣に、韓国の絶望的な危機感欠如」で詳細に記した。

 金正恩は既に自分の脅威でなくなっている異母兄の金正男を殺害した。自分の権力の少しでも邪魔になるものは除外するのである。最大の邪魔ものは韓国のはずである。

 そうした中で、北朝鮮に断固対応しようとしていた朴槿恵大統領を弾劾訴追し、3月10日に罷免した。次の大統領の有力候補はいずれも北朝鮮に融和的な姿勢を示す候補者であり、韓国の有力紙朝鮮日報も、「韓国の大統領候補者たち、それでも『親北』を続けますか」と題する社説を掲げ嘆いている。

 3月3日現在の世論調査でトップを走る「共に民主党」前代表の文在寅(ムン・ジェイン)氏。同氏は北朝鮮への宥和的姿勢で知られ、開城工団の再開やTHAAD配備の検討延期などを主張している。同氏が22日京畿道安城市で行われた農業関係者との会合で、「われわれが北朝鮮にコメを輸出し、北朝鮮が保有する地下資源やレアアースと交換すれば、韓国におけるコメの在庫問題を解決でき、同時に地下資源やレアアースを国際相場よりも安く購入できる道が開けるであろう」と語った由である。これは当然国連安保理の北朝鮮決議に違反する行為であり、与党ばかりでなく野党からも批判の声が一斉に上がっている。