STEP 03
市場との対話で常に改善し続ける

平川健司
電通 プラットフォーム・
ビジネス局 事業室部長
プロジェクトマネージャー
主な仕事に、JR東日本Suicaプロモーション、政府家電・住宅エコポイントなどがある。

 平川健司・電通プラットフォーム・ビジネス局事業室部長  プロジェクト・マネージャーは「エコポイント」事業を担当し、開発段階からビジネスの成長性と拡張性を考える重要性を感じたという。「エコポイントのプロジェクトは、短い期間に予想外のスピードで事業が拡大した。そこで学んだのは、自分たちが考えているスピードでビジネスが成長するとは限らないということ。現場では顧客との対話からニーズがどんどん出てきて、ビジネス要件がふくらんでいった。それに対応していかないとどうにもならない」。

  思いついたアイディアは、未完成でもよいから「β版」を素早くリリースし集客することだ。市場に投入したら、改善を重ねながらビジネスの生態系を拡大させていく。クラウドを戦略的に活用すれば、初期投資が抑制された合理的なシステム運用も可能になる。MDBDで大切なのは「事業展開における制約条件を自ら設定せず、スピード感を持ち、絶えずビジネスモデルを柔軟に組み替えてゆくことだ」(平川氏)。

TEAMPROCESS
リスクを回避するプロジェクト運営

小宮信彦
電通コンサルティング
ディレクター
電通国際情報サービスにて法人営業、ソリューション事業企画に従事した後、ISIDデロイト、電通イーマーケティングワンでの戦略コンサルタントを経て、同社創業に参加。

 MDBDではプロジェクトを支える組織づくりが成功の「勝負どころ」になる。小宮信彦・電通コンサルティング ディレクターは、組織がうまく機能するためのポイントとして次の3項目を挙げる。

 「まずチームづくりでは、当初は創発的かつ多様な発想ができる人を専任で投入し、次段階で既存組織とすり合わせるメンバーを加え、アイディアの実現に向けて加速させる。

  二つ目は外部リソースを活用して、メンバー間の自由闊達な議論を活性化させ、アイディアに新たな視点を持ち込むこと。そして三つ目は、経営トップは社内全体にプロジェクトの目的を繰り返し発信し、オーナーシップを強く持つことだ」。

  従来の定説では、独立チームに大きな権限と自由を与えることで独創的なビジネスが生まれるとされていたが、現在は本業の中核の人たちとすり合わせや連携ができる事業設定をしないと、途中でうまくいかなくなるという考え方が欧米でも主流になっているという。

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