3月14日、米国でトランプ大統領が誕生したことで、さまざまな混乱や不確実性が広がる、とアナリストはさんざん警鐘を鳴らしてきたが、ボラティリティがなお歴史的水準にとどまっているというのは、金融市場における最大の謎の1つと言える。NY証券取引所前で昨年12月撮影(2017年 ロイター/Andrew Kelly)

[ロンドン 14日 ロイター] - 米国でトランプ大統領が誕生したことで、さまざまな混乱や不確実性が広がる、とアナリストはさんざん警鐘を鳴らしてきた。だが、ボラティリティがなお歴史的水準にとどまっているというのは、金融市場における最大の謎の1つと言える。

 その理由を最もうまく説明できるのは、至極平凡な意見かもしれない。つまり、世界経済が着実に成長し予見可能性が増したことが、たとえ米国発であっても、想定外の政治動向がもたらす影響を抑えているのだ。

 大事なのは、金融危機後の経済の回復とその後の安定が大規模な借金に基づいているわけではない点にあり、今後オランダ、フランス、ドイツと重要な国政選挙が続いても、ボラティリティは一時的に跳ね上がるだけで、基調として低水準を維持できると推察される。

 結果的に投資家は相対的にリターンが高いリスク性資産を買い続けても大丈夫だと考える公算が大きく、足元の株価や社債の強気相場の追い風になっている。

 JPモルガンによると、金融市場のボラティリティは、世界経済の成長がどれだけ安定しているかに最も大きく左右される。そして2007─09年の金融危機以降、成長は着実に根を下ろし、退屈と言っていいほど予見可能性が高まっている。

 同社のグローバル資産配分責任者ジャン・ロイス氏は「世界経済は非常に安定している。過去に見られないほどだ。だから市場も落ち着き、リスクプレミアムは極めて低い。市場はファンダメンタルズを反映し、ファンダメンタルズが安定しているなら、資産価格のボラティリティは低下する」と述べた。

 世界銀行によると、2011年以降の世界経済の年間成長率は2.3─3%、国際通貨基金(IMF)の見方では12年以降もっと狭い3.1─3.5%のレンジにとどまっている。両機関の予想通りなら、今年の成長率もこの狭い範囲に収まる。