一方で安易に韓国の反日感情に譲歩するようなことになると、余計に韓国は反日姿勢を強め、韓国政府は感情論を展開するだろう。

 2015年12月の日韓共同声明の中で、韓国は慰安婦問題が“最終的かつ不可逆的に解決されることを確認”した。韓国はこの問題への批判を控えることも発表した。わが国は、この政府間の最終的な合意の遵守を求めればよい。そのスタンスを変える必要はない。

 突き詰めて考えると、あまり韓国のことは気にする必要がないことだ。政府間の合意が成立している以上、慰安婦問題を蒸し返そうとする韓国の主張は子どもが駄々をこねるに等しい。

 それより重要なのが、アジア各国との関係強化だ。わが国は安全保障面で米国との関係を重視しつつ、アジア各国と政治、経済面での関係を強化していくことだ。

 足許で中国は習近平の支配基盤の強化のために、南シナ海などの開発を進めようとしている。そして、トランプ政権の政策運営次第では米国が中国の海洋進出よりも自国のことだけを重視する可能性もある。そうした状況が現実のものになると、アジア、極東情勢はかなり不透明になる。

 その状況に対応するには、日本が、正しいことを正しいと主張することが欠かせない。発言力を高めていくためには、親日国を獲得し、数の面でわが国の主張を支える基盤を整備することが大切だ。わが国の考え、イコール、アジア各国の利益といえる状況を作り出すのである。

 このことを考えると、経済外交が重要になる。日本はアジアの国のインフラ開発などの支援を進め、見返りに関係の強化を求める。それが米国を軸とした安全保障体制の維持、経済連携の重要性をアジア各国と共有することにつながるだろう。韓国の政治動向に気を取られる必要はない。政府はアジア各国との関係強化を優先すればよい。

(信州大学教授 真壁昭夫)